通算10作目となるシングル。あいみょんのシングルは、どれもスリーブケースとビニール袋に入っていて、CDをかけるひと手間がレコードの時と似ている。本作は、その手間すらも愛おしく思えるような懐かしい味わいがある。

 表題曲は、TBS系ドラマ『私の家政夫ナギサさん』の主題歌となっているラブ・バラード。70年代フォークを想起させるようなゆったりとしたリズムや、「この恋が実りますように」と切に願う歌詞、さらにあいみょんもこれまで以上に一途に歌い上げており、これは昭和世代に向けて作られているのではと思うほど、スタンダード感に満ちている。夜道をコツコツと歩くような音で始まるイントロも、間奏のピアニカも、すべて歌謡曲へのリスペクトを感じさせ、スナックで誰かが泣きながら熱唱している映像が思い浮かぶ。きっとカラオケでもヒットすることだろう。

 カップリングの『ユラユラ』は、音頭風の親しみやすいリズムのミディアム・ナンバー。その、駆け引きに迷いながらも恋に落ちていく自分と、「ユラユラ揺れる月」を重ねている所も見事だし、「温めてほしい」ではなく「身体冷やして待っています」という歌詞も、性愛に関する際どいフレーズをサラリと歌えるのも彼女らしい。この2曲で、イマドキのティーン女子もフォーク系を聴いてきた中高年も魅了するだろうし、あらためて器の大きさに感心させられる。

 本作を聴けば、恋する気持ちをもっと大切にしたいと思うはず。

(ワーナーミュージック・1000円+税)=臼井孝

関連記事