旧福井医科大学の学歌が収録されたオープンリールの原盤を持つ福井大学の上田孝典学長=福井県福井市の福井大学文京キャンパス

 NHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデル、故古関裕而さんが作曲した、旧福井医科大学の学歌の手書き楽譜や歌が収録されたオープンリールの原盤などが、福井県永平寺町の福井大学松岡キャンパスで見つかった。7月6日からキャンパス内の図書館で展示を始めた。大学統合で歌われなくなっていた格調高い古関メロディーに再び光が当たりそうだ。

 旧医科大は1980年の開学後しばらくは学歌がなかった。当時「痛風友の会」顧問を務めていた中村徹第1内科教授(故人)が、友の会会員らを通し、詞を坂井市三国町ゆかりの俳人伊藤柏翠、曲を古関さんに依頼。84年に完成し85年の入学式で初披露された。

 古関さんは、医科大広報誌への寄稿文で「明るくおおらかな旋律の曲を付けた。卒業生がふと口ずさむ時に、楽しかった学園生活を思い出せるように心掛けた」と曲への思いをつづった。福島市古関裕而記念館は「楽譜の加筆の跡からは、歌詞を音に乗せるための苦労の跡がうかがえる」としている。

 学歌は、2003年に旧医科大が福井大に統合されたことで役目を終え、その後、表舞台に出ることはなかった。

 旧医科大の開学40年を迎えた今年、学内の記念誌発行委員会が過去の資料を整理する中で「昭和59年9月29日」付けのマスター版テープや手書きの楽譜2枚、古関さんの手紙の複写などが文書庫に保管されていることが分かった。福井大は多くの人に見てもらおうと、6日から31日まで松岡キャンパスの図書館で展示している。

 上田孝典学長は「学歌は、それを聴いて育った人の中に永久に生き続ける。当時の思い出とともにこれからも歌い継がれていくことを願う」と語った。

 旧医科大を1990年に卒業した眼科医の都筑昌哉さん(55)=坂井市=は「卒業式で1度聴いたきりだが、不思議と今も口ずさめる」と話す。「新型コロナウイルス感染拡大防止に命懸けで立ち向かった卒業生も多い。学歌は、古関さんからの“エール”のように感じられる」と感慨深げな表情を見せた。

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