県民生協の宅配サービスで商品を受け取る利用者=6月26日、福井県坂井市内

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛期間中、福井県内では移動販売や宅配サービスが売り上げを伸ばした。「買い物弱者」と呼ばれる人らを含めた消費者の切実なニーズに応えた運営者側は「さらに安心して利用してもらえるよう、感染防止対策を徹底する」と第2波に備えている。

 「とくとくと~く、とくし丸」。永平寺町牧福島の住宅街にヤスサキ(本社福井市)の移動スーパー「とくし丸」の販売車が到着した。“テーマソング”に誘われるように近所の人が集まってくる。「(好きな)刺し身買うたか?」「今日は何するんや?」。世間話と注文の声が入り交じる。

 バナナやトマト、漬物などを買った70代女性は「大きいスーパーに行くのは10日に1回ほど。買い足すのにちょうどいい」。60代男性は「畑をしているから野菜はある」からアイスや刺し身を購入。「なくなる頃に来てくれるから、ありがたい」と目を細めた。

 とくし丸は7台が稼働しており、約400品目、1200点を積んだ車が6市町の約800世帯を巡回している。4月の売り上げは前年比20%増。5月以降も高水準を維持している。

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 坂井市丸岡町の60代女性は40年近く県民生協(本部福井市)の宅配サービスを利用している“ベテラン”だ。4、5月は「スーパーに行くのが怖かった」から、週1回の注文で普段の倍以上の1万円ほどになることもあった。休校中の孫4人を預かっていたため、冷凍のスパゲティや揚げ物などが増えた。

 自粛期間中は、感染リスクを減らすため玄関先に商品を置いてもらう形に。6月下旬、3カ月ぶりに直接受け取り、「大雨の中、大変やったね」と配達員をねぎらった。

 県民生協は多様な販売サービスを展開している。主力の宅配の4月売り上げは前年比18%増。利用を再開した人や新規申し込みも相次いだという。移動販売は同20%増、買い物代行は同60%のアップとなった。

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 全20カ所を週3日間で巡回する越前市のセブン-イレブン越前粟田部店の移動販売サービスも、自粛期間中に売り上げを伸ばした。注文を受けて時間外の販売を行うこともあり、上坂恵子店長は「求めている人がいればできる限りのことはしたい」と話している。

 一方、自粛期間中には移動販売や宅配に厳しい見方をする人もいた。とくし丸の佐々木賢治店長は、販売車を見かけた人から「何でくるんや」などと言われたこともあったとし「販売員の体調管理やマスク着用、消毒などの感染防止対策を徹底する」と力を込めた。

 県民生協も同様に対策を徹底している。近藤明斉・嶺北センター長は「家まで届けてくれて助かると言われ、利用者の要望に応えられたと思う。第2波が来ても継続してできるよう備えたい」と話している。

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