採用活動のオンライン化などについて意見を交わす参加者たち=6月29日、福井県福井市の「akeru」

 飲食業界はコロナ禍に伴う長期にわたる休業中、従業員やアルバイトの間に今後の先行きに対する不安が広がったという。齋藤社長は社内のグループラインを使って払拭に努めた。

 「大きい決定事項は動画でホワイトボードを用意して説明しました。雇用調整助成金とか雇用安定助成金とか、難しいやつの説明を全部ホワイトボードで説明するってことをやった。みんな従業員もアルバイトも不安だったんで、親がバイト行くなとかって声もあったし。そういうのをやってみんなを安心させました。親にも見せるんですよ。この社長さんはちゃんとしてるって、この計算式でこういふうに出しますって明確に伝えているんで、ほとんど離職する人もいなかった」

 休業明けからZoomを使った朝礼も始めた。元々、店舗が複数あるため一カ所に全員が集まる機会が少なかったが、オンライン朝礼によって思わぬ効果が出だした。「今までできなかった交流とか助け合いとか、そういうことが今生まれていますね。担当決めて朝礼の進行役を一週間やってもらったりしているんですが、前日にあったお客さんからのクレームもみんなで共有できる。他店の営業状況とかも分かりますし」。コロナ禍という逆境の中でコミュニケーションを今まで以上に深めることができているようだ。

 平均年齢が高いという建設業界でも社内連携のオンライン化が進んだという。道端専務は「1、2年前にスカイプを使って会議をオンライン化しようとしたが『そんなことできない』って声が多かった。でも、このまえの会議で来年度から現場ごとに環境を整えて、週間の工程会議をやっていこうって言ったら、『わかった』っていう社員が一気に出てきて意識は変わったって実感しました」と語り、「工程の調整だったり、すり合わせは非常に大事。工事現場がそれぞれ離れていて、なかなか本社事務所に集まって会議をすることがないが、現場でもウェブカメラで本社で離れながらでも状況を見られるような仕組み作りを進めている」と手応えを口にした。

■要はバランス

 オンライン化の有効性を肯定している齋藤社長だが、諸手を挙げて「オフラインよりオンライン」というにはまだ早いという。外出自粛要請の中で広がった「Zoom飲み」を例に挙げ、「自分も経験して、このままでは飲食店がなくなってしまうって思ったけど、じゃあ今Zoom飲みしてますかっていったら、まったくしないんですよ、僕は。例えば県外の人とかとZoom飲みするんだったら、それはめちゃくちゃいいんだけど、近い人とやる必要性がなくて、結局飲食店行った方がコスパいいよねってなったときにやっぱりZoom飲みはさみしいってことで消えていくってことがあって」と話し、「Zoom使っていたけど、やめましたという状況にはまだなってなくて、Zoomを採用した状況が持続している状態。今は見なきゃいけない時期かな」。オンライン化は「万能薬」ではないというスタンスだ。

 在宅勤務の定着もコロナの沈静化とともに遠のいているようで、HRコンサルタントの女性は「人事界隈の人と話をすると、技術的にはできるんだけど、管理の面で制度だったりとか評価のところの議論が追いついてないので、結局会社に来てもらわないといけないという感じで戻っています」と指摘。清水さんも「出社した方が、聞きたいことが口頭ですぐ聞けるところとか、みんなの顔が見られる方が安心するっていう声の方が多かったです」と社内の傾向を説明した。

 大連さんは「進捗報告とか定例ミーティングとかはウェブでがんがんやっていけばいいと思うんですけど、ブレスト系とか空気感が物を言ったりするときもあるので、必ずしもウェブじゃない方がいいんじゃないかなって思うこともある。はじめましての時も、その人のバックグラウンドが読めなさすぎると難しいなって感じるときもあった」との肌感覚。今後、リアルとオンラインそれぞれの生かし場所を見極めて、使い分けるのが新たなトレンドになりそうだ。

 若新さんは「なんでもネット化するっていうんじゃなくて、ここにピンポイントで使うっていう視点が見えてよかった。今までのICT化の議論って、すべてがIT化って話だったけど、福井県が持っていた場所、距離のハンディキャップを埋めていくっていうところに焦点を当てて、オンラインが福井を元気にする可能性を具体的に語られたと思う。都市に流れた福井の若者を取り戻すのにネットを生かすのは、いいんじゃないかな」と議論を振り返った。

⇒トークの全容はD刊で

 福井新聞D刊では、県内大学生の1%超をアルバイトとして確保したと自負する「ぼんたグループ」の取り組みや、道端組が語る建設業界の採用についてもご覧いただけます。