拉致問題について講演し、進展のない現状に強い危機感を示した蓮池薫さん=6月30日、福井県福井市の福井新聞社・風の森ホール

 福井新聞政経懇話会の第456回6月例会は6月30日、福井新聞社・風の森ホール(福井県福井市)で開かれ、北朝鮮に42年前拉致され2002年に帰国を果たした新潟産業大経済学部准教授の蓮池薫さん(62)が講演した。蓮池さんは、拉致被害者横田めぐみさんの父滋さんが5日に死去したことに触れ、拉致問題の進展がない現状に強い危機感を示し「米朝会談に期待しても、何年かかるか分からない。北朝鮮は中国への依存を高めており、中国への働きかけが重要になる」と話した。

 蓮池さんは1978年7月31日夕、新潟県柏崎市の海岸で、当時恋人だった妻の祐木子さん(64)と共に拉致された。工作員に物陰で押さえ込まれ、暗闇の中、ボートに乗せられた。同年10月ごろから約1年間、小浜市の拉致被害者、地村保志さん(65)と同じ建物で生活。結婚後も、地村夫妻と同じ招待所で暮らしていた時期がある。

 「夢と絆~拉致が奪い去ったもの」と題し講演した蓮池さんは、2019年2月の2度目の米朝首脳会談が決裂したことに触れ「(高齢化で)拉致被害者家族が亡くなっていく中、米朝の非核化交渉を悠長に待っていられない」と主張。「日本政府は米国だけでなくあらゆるチャンネルを使い北朝鮮を動かしてほしい」と強く要望した。

 「その一つが中国」と指摘。北朝鮮が南北連絡事務所を爆破した後、軍事行動を保留したことについて「中国の圧力ともいえる」とし、拉致解決には中国との連携が必要と述べた。

 自身の帰国は、小泉純一郎元首相の訪朝で実現したことを引き合いに出し「最終的には日朝首脳会談に持っていくべき。両国が主張し合うことで進展がある」と話した。

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