福井市みやま長寿そば道場「ごっつおさん亭」=6月29日、福井県福井市獺ケ口町

 福井県の福井市みやま長寿そば道場「ごっつおさん亭」(福井市獺ケ口町)が6月30日を最後に営業を休止。新型コロナウイルス禍による休業からの再開後も客足が戻らず、地元のそば愛好者らでつくる運営法人は営業を続けると赤字が膨らむと判断した。常連客からは「寂しい」と惜しむ声が聞かれる。

 ごっつおさん亭は、そば打ち体験と県産そば粉を使った食事が楽しめる市の施設。美山地区のそば打ち愛好者らでつくるNPO法人越前みやまそば元気の会が指定管理者を担っている。

 新型コロナの感染拡大で3月2日から休業し、5月20日に再開したが客足は回復せず、平日は4~5人、土日も15~20人程度。休業前の4分の1に落ち込み「店を開いても赤字が膨らむだけ」(同NPO)という状況が続いていた。

 コロナ禍以前から運営は若干の赤字で、空調設備の効きが悪くなっていたこともあり閉館方針を6月中旬までに決め、市は当面の営業休止を25日に認めた。

 営業休止を知り29日に訪れた越前市の男性(78)は、おろしそばの大盛りを平らげ「そばはもちろん、そば団子もおいしい。なくなるのは残念」。週1回以上利用する福井市の自営業男性(65)も「そばの味がしっかりする。美山で食べるところが少なくなり寂しい」と嘆いた。

 統括責任者の田村信雄さん(78)は「おいしいそばを食べさせてあげる場所がなくなるのは申し訳ないが、赤字営業を続けることはできない」と無念さをにじませた。

 ごっつおさん亭は、旧美山町が特産のそばで町外から人を呼び込もうと1991年に開館した。ログハウス風の外観が特徴で、市中心部から車で約20分。そば打ちは約100人が同時に体験できる。

 2005年に同NPOが町から営業を委託され、福井市に合併後の08年からは指定管理者を担ってきた。19年度はそば打ちを2702人が体験し、食堂は7575人が利用した。

⇒【D刊】休止の「ごっつおさん亭」そのほかの写真

 市は民間のそば打ち体験施設が増えており、老朽化した建物の大規模改修にかかる財政負担が大きいとして、今年3月策定の施設マネジメントアクションプランで、指定管理期間が終わる来年3月末以降の廃止方針を決定。中山間地にある廃止施設を地域活性化に活用する企業や団体に無料で貸す新制度などで利活用を検討するとしている。

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