1987年、イギリスの田舎町ルートンに住むパキスタン系のジャベドは子供の頃から日記や詩を書き続けてきた作家になることを夢見る少年。それでも彼が育ってきたパキスタン系の家庭はとても厳しく、父親が全ての家庭でやりたいことは一つもやらせてもらえない。大学に進学しても、将来は全て家族のため。家の外では、差別主義者から「パキ野郎」と唾を吐きかけられる。

 抑圧された毎日を送る少年が出会ったのはアメリカ・ニュージャージー州出身のフォークシンガー、ブルース・スプリングスティーン。耳に入ってきた言葉の全てが、彼の思い全て。音楽に自分自身を解放された彼は、文字通り自分自身の夢に向かって走り出します。カセットテープの再生ボタンを押して、イヤホンを耳に当てたら世界はキラキラと輝いて、今までとは違う新しい世界が広がっていく。

 そういえば私も、学生時代、学校に行くことが嫌で仕方がなかったときにX JAPANの亡くなったhideさんの曲に随分助けられたなあ。自分の中にくすぶっていた思いをまるでその人が代弁してくれているような歌に出会ったとき、人は救われる。様々な葛藤を乗り越えながら、自分の人生を生きていこうとするジャベドは、大切なことを教えてくれます。ユーモアも温かさも、青春も家族愛も全部が最高にリミックスされた映画です。

 ジャベドのような家って、日本にもまだまだたくさんあると思う。親の敷いたレールに乗っかって、くすぶっている若者がもしもいたら、この映画から、いろんなことを感じてもらいたいなって思います。★★★★★(森田真帆)

7月3日から全国公開

監督:グリンダ・チャーダ

出演:ヴィヴェイク・カルラ

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