福井県庁前交差点付近でプラカードを持ち原発反対を訴える市民ら=6月26日午後6時半ごろ、福井県福井市大手2丁目

 毎週金曜夕、福井県福井市の県庁前交差点付近で原発ゼロを訴える市民行動が6月26日、400回を迎えた。主婦や元教員、嶺南住民らさまざまな立場の参加者がプラカードを持ち、マイクを握っている。

 2012年7月1日。関西電力大飯原発3号機が再稼働した。東京電力福島第1原発事故後、定期検査で停止していた国内原発の再稼働は初めてだった。12日後の13日。県庁前交差点付近で市民行動が始まった。

 現在は▽午後4時~同6時50分にスピーチと県庁の周囲をデモ行進▽午後6時~7時半にスピーチや歌の集会―の2グループが活動し、毎回計20~30人が参加している。

 400回目となった26日夕、中心メンバーで福井市の林広員さん(60)は訴えた。「原発のない社会を一日も早く実現するために、一層の力を結集しよう」

 参加者はどんな思いでアピールを続けているのか。「古里を追われた福島を見て恐ろしさを感じた」と話すのは若狭町の主婦(68)。「原発関連の仕事をしている知り合いもいるけど、心の奥には事故の不安があると思う。地元では声を上げられない。でもここでなら」。「原発のない福井をつくろう」と書かれたプラカードを静かに掲げた。

 「退職した今、福島の次は福井かもしれないと思って参加している」と語るのは坂井市の元小学教諭、高岡ひとみさん(64)。福井市の自営業男性(69)は母親の介護のため半周の行進で帰宅しているものの、毎週参加している常連だ。

 2017年3月には「音量が大きく不快」「美観上好ましくない」などの声が寄せられているとして、県が活動自粛を要請した。当時文書を受け取った坂井市の石森修一郎さん(73)らは憲法21条の「表現の自由」に反すると抗議した。今も常に胸ポケットに憲法の冊子を入れ、マイクを握る。「組織や党派は関係ない。自由闊達(かったつ)に議論することで新たな視点が生まれる。敵を作りたいわけじゃない」。石森さんはそう力を込める。

 デモ行進では、罵声を浴びたり、空き缶を投げられたりしたこともあると語るのは越前市の若泉政人さん(53)。「自分の意見を自由に街頭で言える文化をつくりたい」と先頭に立ってきた。原発推進の学生が議論しに来たこともあるという。「うれしかった。賛成でも反対でも、意見を交わすことが大事だから」

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