【論説】敦賀市の古刹(こさつ)、西福寺。国指定重要文化財の阿弥陀堂と書院を修復した第1期工事を終えて既に15年近くたち、手つかずのまま残る御影(みえい)堂などの老朽化が顕著だ。これらを修復する第2期工事の着手は早くても2022年度後半の見通しとなった。修復には多額の費用がかかるが、650年余りの歴史と、多くの文化財を有する同寺を守るために市民ができることを考えたい。

 浄土宗西福寺の歴史は古く、1368年に良如上人により創建された。上人が敦賀に遊化(ゆけ)された際、ここを仏法有縁の地として建立を願い出、朝廷の許しを受け、将軍足利義満の助力を得て建てられたという。

 今月末まで市立博物館で、同寺が所蔵する貴重な古文書の特集展示が行われており、千点を超える古文書のうち中世を中心とした25点が展示されている。天皇家とのつながりが分かるほか、朝倉義景、織田信長、大谷吉継が寺領を荒らさないと約束した「禁制」や羽柴秀吉、結城秀康らの文書がそろう。繰り返される戦禍から寺を守り続けた歴史を示す貴重な資料群だ。

 これらの歴史の一部を見守ってきたのが同寺の建造物群であり、重文の阿弥陀堂や書院、御影堂、庫裏、四修廊下のほか、国名勝の庭園など、枚挙にいとまがない。

 ただ、建造物群の傷みは激しく、阿弥陀堂と書院は2001~06年の第1期工事で修復。第2期では屋根が落ちないよう足場で囲っている御影堂、柱や桁などの腐朽が進む庫裏などを修復する計画だ。このほど行われた調査では修復に必要な期間は10年以上とされ、さらなる詳細調査などを経て22年度後半以降の事業着手を目指す。

 これまでも課題とされてきた費用面も概算が算出され、少なくとも20億円かかる見込みだ。国や県、市の補助を勘案しても、寺の負担分として1割ほどが必要となる。

 過去数年間、奉賛会が中心となり、市民や企業から寄付を募ったり、協賛金を集めるための音楽会やイベント、みそ造りなどに取り組んできたが、浄財集めは1期目よりも厳しい状況にあると聞く。コロナのため現在イベントなどは行われていないが、まずは市民が寺の価値を広く理解することから始めたい。

 脈々と続く歴史や文化財は、大きな観光資源にもなり得るだろう。寺を守ることは敦賀の宝を次代につないでいく行為と捉え、地域全体で支えていく方策を考えたい。

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