雇用調整助成金の無料相談に応じる県社会保険労務士会の社労士=福井県福井市大和田2丁目の福井銀行大和田支店2階「ふくぎんプラザ福井」

 新型コロナウイルスの影響で従業員の休業を余儀なくされる福井県内の企業を支援しようと、福井県社会保険労務士会は、休業手当を補助する国の雇用調整助成金に関する無料相談に力を注いでいる。相談はあらゆる業種に広がっており、深刻さが増してきているという。相談の多い小規模・零細企業の事業主に対し、社労士らは「正確な労務管理と休業決定前の労使協定が重要」と呼び掛けている。

 ■「自力でやるしか」

 「助成金の申請書類が簡素化されたって聞いたけど、内容に分からない点があって…」。県社労士会が福井銀行と共催で、6月10日から毎週水曜に同行大和田支店(福井市)で開いている個別相談会。県内の木工製品製造業の女性社員が会社代表で相談に訪れた。

 首都圏の百貨店向けに製品を出荷していたが、国の緊急事態宣言に伴う百貨店休業の影響を受けて受注が激減。4~5月の2カ月間、従業員の休業を余儀なくされた。「小規模事業者なので、助成金が受けられると大きい。申請は難しいけど自力でやるしかない」と前を向いた。

 県社労士会は新型コロナ感染拡大を受け、金融機関や各地域の商工会議所などと連携して相談会を行っている。福井銀の相談会は7月末まで続く。

 ■「これから厳しく」

 国は感染拡大を受け、雇用調整助成金の拡充や要件を緩和した特例措置を9月末まで延長。提出書類も簡素化されたが、福井銀の担当者は「個別相談会に訪れるのは小規模・零細企業が大半。専門スタッフがおらず、経営者自ら申請手続きしなければならないのがつらいところ」と話す。

 「助成金の相談があらゆる業種に広がり、内容も深刻さが増してきた」とするのは、県社労士会の青垣智則副会長。3月~4月前半の相談は観光業や飲食店、バス事業者などが中心だったが、4月後半からは製造業が中心という。「6~7月の受注が真っ白という製造業者もいて、これからが厳しい状況。だが、助成金を活用して従業員を維持し、新型コロナ収束後の経済回復に備えるのは重要」と指摘した。

 ■「会員挙げて支援」

 小規模・零細企業が申請するポイントとして、多田経営労務事務所(福井市)の多田士朗社労士(47)は「労務管理をしっかり行っているのが前提」と指摘する。タイムカードやシフト表、労働日数や時間外労働などを記載した賃金台帳は当然必要となる上、「仮に違法残業などがあると、助成金が支給されたとしても後々の国の検査で返還命令を受ける恐れがある」と注意を促す。

 県社労士会の戸嶋哲也会長は「特例措置で労使間の休業協定は事後提出でもよくなったが、本来は協定締結が出発点であることを意識してほしい」と、労働者重視を呼び掛ける。「零細企業の事業主は、休業手当のほか固定費などで資金繰りが大変だと思うが、雇用維持のため助成金は活用してほしい。県社労士会挙げ手続きを支援していきたい」と強調した。

 ■雇用調整助成金の特例措置 従業員に支払った休業手当に対し、通常は中小企業で3分の2(大企業2分の1)の助成率を5分の4(大企業3分の2)に引き上げ、さらに一人も解雇しなければ10分の10(大企業4分の3)を補助する。日額8330円の上限を1万5千円に増額。パート、アルバイトも助成対象となった。

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