花粉症の舌下免疫療法では、フリーズドライ加工した錠剤(写真中央)を口に含む方法が主流になりつつあるという(福井大学医学部耳鼻咽喉科提供)

 福井県内のスギ花粉の飛散は4月中旬に終わったが、花粉症の症状を和らげる根本的な治療法の一つ「舌下免疫療法」は、年末までの“飛散オフシーズン”しか始められないという。福井大学医学部耳鼻咽喉科・スギ花粉症対策室の坂下雅文医師は「徐々に体を慣れさせていくには、治療の“助走期間”が長いほど良い。症状が重く、舌下免疫療法を検討したい人はこの時期に医師に相談を」と話す。

 舌下免疫療法は重い全身疾患がある人などを除き、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を、少量から計画的に投与する治療法。アレルゲンがスギ花粉の場合、スギ花粉の抗原タンパクから精製したエキスを1日1回、口に含んで体を慣れさせていく。2014年に保険適用となり、18年からは年齢制限もなくなった。最近はエキスをフリーズドライ加工した錠剤が主流になっているという。

 坂下医師によると、花粉飛散期に治療を開始した場合、治療用のアレルゲンと、飛散しているアレルゲンが重なって副作用が出る恐れがある。そのため、飛散期が終わった時期から年末までの約半年間に限り治療開始することとされている。「効果が表れるのに3~4カ月かかることから、治療を始めて飛散期までの期間を長く確保できる時期がおすすめ」という。

 治療開始に当たっては、採血によるアレルギー検査で原因物質を特定。初回は院内でエキスを投与し、アナフィラキシー(急性アレルギー症状)のような全身の強い副作用がないことを確認する。その後、段階的に抗原の含有量が多いエキスにしていき、1カ月に1度程度、通院しながら治療を続ける。

 抗ヒスタミン薬と併用でき、約8割の人に効果があると言われる舌下免疫療法は最低3年間、可能なら5年程度、継続する必要がある。既に始めた人は花粉飛散期も治療を続けるが、問題ないという。

 坂下医師は「飛散期を過ぎると治療への関心が低くなりがちだが、舌下免疫療法はこの時期にしか始められない。特に受験や進学、就職を来春に控え重い症状で悩んでいる人は、早めに医師に相談してみては」と話す。また「花粉症の患者は小中学生を中心に増えていて、一度発症すると自然には治りにくい。未発症の人は根気のいる治療をせずに済むよう、マスクで花粉を吸入しないように心掛けて」と呼び掛けている。

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