福井県内の主な海水浴場の今夏の開設状況

 新型コロナウイルスの影響で、福井県内にある約60の海水浴場のうち、今夏に開設する方針を示しているのはわずか約2割にとどまっている。駐車場閉鎖などの措置を取っても一定数の遊泳客が訪れるとみられ、監視者がいない中、水難事故の発生や熱中症の増加が懸念される。関係者の一人は「今年は『海水浴場』ではなく『海岸』。自己責任でどこまで安全が守られるか」。山積する課題に対し、解決策を見いだせていない。

 ■自己責任

 高浜町では、昨年13万人以上が訪れた若狭和田海水浴場など町内全8カ所の海水浴場が開設されない。若狭和田でライフセーバーを務める細田直彦さんによると、例年は飲酒して泳いだり幼い子どもから目を離したりする遊泳客が相次ぎ、最大15人体制で警戒しても足りない。「今年は完全に自己責任。安全管理は難しく、海の事故は増えるだろう」と不安を口にする。

 6月上旬、県は各市町の観光担当者に、開設しない場合の留意事項として▽遊泳禁止の看板設置▽開設していない旨の広報啓発▽定期的なパトロール-などの対策例を示した。一方、遊泳禁止」は任意の呼び掛けに過ぎず、強制力を伴う命令はできない。「注意を促すのが精いっぱい」(県担当者)なのが実情だ。

 ■赤字覚悟

 嶺南のある海水浴場では、開設団体が「3密」回避などの感染防止策を徹底できないとして、今年の海水浴場や浜茶屋の開設を取りやめた。遊泳禁止の看板設置に加え、警備員の配備を検討している。開設団体の担当者は「開設していると誤解されても困るが、安全には変えられない」として、監視台は設置せずに巡回での警備を業者に委託する予定だ。

 例年、期間中の浜辺の美化や安全対策にかかる費用は駐車料金や浜茶屋開設の協力金から捻出している。今年は見込めず「数百万円の赤字は覚悟している」のが現状。「浜辺は観光資源で、市民の散策の場。せめてマナーを守ってもらえれば」と頭を抱えている。

 ■守るために

 坂井市の三国サンセットビーチでは4、5月の大型連休中、新型コロナの感染防止対策のため駐車場を封鎖した。同ビーチ振興会の大井七世美会長は「いくら注意してもいたちごっこで路上駐車や浜辺のごみがひどかった。夏閉鎖すれば、これ以上の人が来る」。安全対策や治安維持の観点からもビーチ開設を決めた。

 しかし、花火大会の中止や感染リスクに対する懸念などから浜茶屋は軒並み開設を断念。1軒のみが「冷たい飲み物と日陰を提供するのが使命。ビーチの安全管理の面でも従業員の目が届く」として営業する。大井会長は「きれいな、安全な三国の海を楽しんでもらえるよう、万全の感染対策で迎えたい」と話す。

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