鯖江市長選挙への不出馬を表明した牧野百男市長=6月19日夜、同市役所

 福井県の鯖江市長選挙(9月27日告示)に一転、立候補断念を決めた現職の牧野百男氏(78)。6月19日夜の記者会見では体力の衰えを理由に挙げ、鯖江市幹部も「最近は新型コロナウイルス対応も続き元気がなかった」と話す。ただ5月27日の正式出馬表明から1カ月もたたないうちの突然の決断に、関係者には驚きと動揺が広がった。

 出馬表明の際には「コロナ禍に市民と共に全力で立ち向かう」と話していた牧野氏。それが一転したのは「今週に入ってから」という。「体力には自信があったが疲れが取れなくなり、年を感じた」とし、不出馬に至り「後援会や市民に心からおわび申し上げたい」と無念さをにじませた。

 18日朝の時点で、牧野氏は会員制交流サイト(SNS)に「人に逢うのが好きで、すぐに現場に行き沢山の話を聞きます」と、一見すると元気な姿を投稿していた。市職員によると、先週末の大雨も徹夜で対応したという。ただ別の市幹部は「全盛期はあんなもんじゃなかった」と語った。

 牧野氏不出馬とのうわさは、18日夜から19日にかけて広まった。唐突にも映る撤回に、支援者は「推薦状の準備もしていたのに」と動揺を隠さなかった。

 4期16年を牧野氏は「鯖江に住んで良かったと思えるまちづくりに一貫して取り組んできた」と振り返った。シティープロモーションに力を入れたのは就任前、福井市などと合併が取りざたされ「鯖江の名を残したいとの思いで取り組んだ」。就任時1億9千万円だった財政調整基金を約33億円まで積み増し、新型コロナ対応の財源とした。

 鯖江商工会議所の黒田一郎会頭は「安定した現職にもう1期頑張ってほしかった」と惜しんだ。

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