理事会に向かうJA福井県の田波俊明代表理事組合長=6月16日、福井県福井市の県農業会館

 JA福井県の田波俊明組合長の辞意表明から一夜明けた6月16日、理事会では田波氏の辞任を受け入れ、冨田勇一副組合長を後任に選んだ。ただ、理事たちは経済事業を巡って対立し、田波氏に辞任を求める動きも起きた。今後どう融和を図り、道半ばの合併JAの改革を推し進めるか、難しい船出となる。

⇒JA理事対立「まともな組織でない」

 理事会後に取材に応じた田波氏は、冨田氏が後任に決まったことを吹っ切れたような表情で説明し「一本化できたのが一番よかった」と、スムーズな人選だったことをアピールした。

 理事の1人も「理事会は分断している雰囲気はなく、人選にはみんな納得しているようだった。雨降って地固まる。分断していては、何で合併したのか分からなくなる」と述べ、大きな対立はなかったとした。

 ただ、田波氏は15日の辞任会見で「理事が二分してしまっている」と内情を明かし、その日の理事の協議の場には、辞任を求めていた理事たちは出席しなかった。

 田波氏は10JAの合併協議会の会長として議論をリードし、約20年間実現しなかった県域合併を成し遂げた。その一方、理事たちからは「田波さんは独断専行の面もある」との声も聞かれ、強い決断力が批判を招くこともあった。そういったことも今回の反発の根底にあるとみられる。

 田波氏を支持した理事の1人は「子どものけんかのようだった。必ずしこりが残る。発足して2カ月半で、まだ結果が求められる時期でもないのに、田波氏1人を攻撃するのはおかしい。代表理事4人の責任。権力争いなんかしているよりも、農家のためにやるべきことは山ほどある」と、今回のトップの交代劇を批判した。

 田波氏辞任を求めた理事も「今後、しこりが残る心配がないとは言えない」と不安をのぞかせる。冨田氏は「理事がまとまって難局を乗り越えたい」と意気込んだ。

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