緊急記者会見で辞任する考えを示したJA福井県の田波俊明代表理事組合長=6月15日、福井県福井市の県農業会館

 「理事がけんかしているような状態では、まともな組織とはいえない」。JA福井県の田波俊明代表理事組合長は6月15日、理事間で対立があったことを説明し、就任わずか2カ月半で自ら身を引く意向を示した。農産物販売などの経済事業を巡る考えの違いが対立の背景にあり、役員人事を含めた攻防は長期にわたった。

⇒田波組合長が突然の辞意表明(6月15日)

 田波氏によると、5月28日に組合長辞任を求める動きが表面化した。本店(福井市)と各基幹支店をテレビ会議システムでつないだ理事会。基幹支店からオンラインで出席するはずだった過半数の理事が、田波氏に辞任を迫ろうとして本店に直に集まった。

 理事会は成立せず流会となり、改めて6月2日に設定したものの対立は収まらず、16日に再び延期になった。これに伴い総代会も当初の予定よりずれ込んだ。

 田波氏は15日、翌日の理事会を前に、自らの考えを理事に説明するための場を設けたが、出席した理事は全55人中十数人にとどまり、辞任を求める理事は欠席。溝の深さをうかがわせた。

 理事を二分する対立についてある理事は「組合員の所得にも直結する農産物販売を巡った改革が進んでいない現状への強い不満がある」と語る。

 合併前、各JAは生産者から集荷し、直接、またはJA県経済連を通して業者などに販売してきた。合併後は、JA福井県が一元的に集荷・販売を行い、流通を簡略化することで効率化、コスト削減を図って組合員の所得向上につなげる計画としていた。「販売体制は変わっていない」との声があることに田波氏は会見で「発足して2カ月で変えるのは難しい」と、今後改革に取り組む意思があったと説明した。

 5月下旬の定例会見では「県域合併したのになぜ主に経済連を使うのかという理事もいる」と認めた上で「(JA越前たけふとは合併がならず)経済連を統合できない以上、上手に使っていかないといけない。コラボレーションしてやっていく」と説明。経済連が持つ販路を活用する考えを示していた。

 発足してわずか2カ月での対立を権力争いだと指摘する声もある。別の理事は「こんなことをしていても組合員のためにならない。早く良い形で決着させるべきだ」と訴えた。

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