【論説】北陸新幹線敦賀以西の建設財源を議論する自民党のプロジェクトチーム(PT)が、新型コロナウイルスの影響で本年度に入って会合を開けていない。膨らんだ金沢―敦賀間の建設費を手当てするとともに、敦賀以西のベース財源となる国費を増額するための議論もこれから。2021年度予算概算要求に向けた動きが注目される。

 県内では敦賀以西の財源論議を巡り、新型コロナの影響で業績の悪化したJR西日本が「貸付料(JRが国側に支払う施設使用料)」の大幅な増額に難色を示すのではないか、との観測が広がっている。経済対策などの大規模な財政出動で、「論議自体が後回しにされかねない」との不安の声も上がっている。

 敦賀開業についても、3年前倒しによるタイトなスケジュールの中、「工事関係者に感染者が出れば工程に響く可能性がある」と県関係者は気をもむ。

 新型コロナの収束が見通せず、県内には不透明感が漂うが、PT座長の高木毅衆院議員は「敦賀開業も敦賀以西の財源論議も、新型コロナの影響で遅れるという話は聞いていない」と否定している。

 関係者によると、北陸新幹線の早期全線開業を求めるJR西日本のスタンスも変わっていない。もともと国土交通省は敦賀以西の財源論議を慎重に進めていく方針であり、県内に広がる懸念は今のところ杞憂(きゆう)に過ぎないようだ。

 永田町では、コロナ禍における景気対策として新幹線整備をとらえるべきだとの意見さえある。PTメンバーの滝波宏文参院議員は「消費を喚起する民間需要が冷え込む中、公共事業で刺激するべきだという議論が、自民党内から出てくる」と指摘する。「優良な公共事業」と言われる新幹線だけに、整備を加速できないだろうか。

 自民党の北陸新幹線整備PTの会合は、敦賀以西の建設財源に関する「中間取りまとめ案」を了承した2月中旬を最後に開かれていない。これまで4カ月近くも間隔があいたことはなく、議論のペースが落ちているのは間違いない。

 新幹線の建設費について国交省は、ここ2年間の概算要求で金額を明示しない「事項要求」としていて、増額を勝ち取るには政治の力が不可欠だ。福井県の活性化に北陸新幹線は欠かせないと、県内関係者が一致団結することも重要になる。23年春に敦賀まで開業し、切れ目なく敦賀以西の着工につなげるため、福井県が一丸となってPTの議論を後押ししたい。

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