インターネット上の誹謗中傷について、弁護士に相談するユキさん(画像の一部を加工しています)=2月

 会員制交流サイト(SNS)上での誹謗中傷に苦しむ人が後を絶たない。攻撃の多くが、匿名や架空の人物を名乗って作られる「捨て垢(あか)(=捨てアカウントの略)」からで、加害者の特定は容易ではない。そんな中「私はこう闘った」との体験談が、西日本新聞(本社福岡県福岡市)「あなたの特命取材班」に寄せられた。(西日本新聞社・押川知美)

 関東地区の主婦ユキさん(43)=仮名=は3年ほど前に突然、インターネットの掲示板で名前や自宅住所と一緒に「うそつき」などと繰り返し書き込まれた。加害者は匿名で、身に覚えもなかった。

 ユキさんは周囲の助言を受けながら(1)警察への告訴状提出(2)書き込んだ人物の特定(3)損害賠償を請求する民事訴訟―の取り組みを進めた。

 ネットの書き込みでも、名誉毀損罪や侮辱罪に当たると判断されれば刑事罰の対象になる。ユキさんはインターネット上で弁護士らが実施している告訴状作成サービスを活用。容疑者が分からないので相手は「不詳」とした。

 並行して、悪質な書き込みをした端末を契約している人物の名前や住所の開示を求め、インターネット接続業者(プロバイダー)を2019年1月に東京地裁に提訴。書き込みの画面を人権侵害の証拠として提出した。

 約1年後、地裁が開示を認め相手が判明。女性だった。ユキさんは弁護士を通して損害賠償を求めて提訴する旨を連絡した。女性は「盛り上がっていたので便乗した。軽い気持ちだった」と動機を語り「自分がされたら不安でたまらない」と謝罪。示談を申し出た。

 一連の行動で、ユキさんは相談や訴訟費用など計約100万円を弁護士に支払った。示談金を差し引いても少なくない出費だ。ネットに詳しい弁護士はまだ多くないため、複数の弁護士に意見を求める必要がある場合もある。ユキさんは「無料相談の機会をうまく活用すれば、費用は抑えられるかも」と話す。

 強い不安を感じ、一時はうつ病の診断を受けたというユキさんはこう語る。「言葉は刃物にもなる。日常生活で許されない暴言や脅迫が、ネット上だからという理由で許されていいはずがない」

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