【論説】高浜町の中心部、高浜地区では海辺を「波元(はもと)」と呼ぶ。地域の人たちから同じように親しまれる存在にと名付けられたのが、海産物加工品を開発、製造する「はもと加工販売所」だ。昨年11月、海沿いの同町塩土にオープン。海の幸のおいしさを発信する施設として認知度を高めている最中。まずは町民に愛される商品を生み出し、徐々にファンを増やしていってほしい。

 運営しているのは昨年6月に、町民らで組織された株式会社「まちから」。特産品の販路を広げ、地域経済活性化を目指す「地域商社」だ。

 拠点となる加工施設は魚の仕入れ先である若狭高浜漁協から借り、独自商品を中心に品ぞろえを増やしている。

 桜島(鹿児島県)の火山灰で干物にした「灰干し」は、アマダイやカマスなど遠赤外線効果でうまみを凝縮。魚の色合いをそのまま残し、身はしっとりおいしい。ズワイガニ、甘エビなどのしょうゆ仕立てにした海華漬けはちょっぴりぜいたくな1品だ。

 昔から地元で作られてきた干物「桜干し」は人気商品。アジやハタハタ、サバなどが醤油(しょうゆ)やみりんベースのだしに漬け込んで味付けされている。桜の花びらのように並べて干すさまが名前の由来になったという。

 アンコウの唐揚げなどの総菜、刺し身、弁当なども販売。町内事業者の商品も並べる。オープンから約7カ月たった5月末時点で売上高は目標を少し上回る約800万円に達し、「お歳暮など贈答用のニーズにも応えられるようになった」(名里裕介社長)と手応えを感じている。エソやシイラ、ツバス、サゴシなど地元では価値があまり高くない魚をすり身にするなど、業務用加工品開発にも力を注ぎ、通販も展開する。

 来年7月、事業拡大の好機を迎える。近くに鮮魚売り場やレストランなどが入る商業施設「UMIKARA(うみから)」が開業予定で、はもと加工販売所が1次加工品を提供する。

 町が総工費約6億8千万円をかける商業施設はにぎわいが見込まれ、加工品の製造体制の強化が急務。引き続き魅力ある商品づくりも不可欠で、観光客を意識した土産、特産品をさらに充実させたい。

 地域経済の盛り上げ役を担う地域商社として、町内の事業者との連携を一層進める機会にもなりそうだ。高浜の顔となる商品、サービスを生み出し、新型コロナウイルス感染拡大で変調する地域経済に力強さを与える―そんな司令塔役にも期待がかかる。

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