フルードの行ったシングルマザーへのアンケート調査では、経済的な負担の増加など切実な悩みが書かれている

 母の形見のネックレス、ブレスレット、コインと自分のネックレスを質に入れ、約60万円に換えた。末っ子の娘が高校に入学し、制服、体操服、電子辞書など物入りだった。元夫からの養育費はない。福井県内のシングルマザー、昌子さん(52)=仮名=は「誰も助けてくれない。でも、もう売るものはない」と肩を落とす。

 派遣スタッフとして2年ほど高齢者福祉施設に勤めていたが、4月いっぱいで派遣打ち切りになった。新型コロナウイルスの感染拡大で施設を利用する高齢者が減り、人余りになった。

 つてを頼り、5月からは別の高齢者施設で週5日、午前8時半から午後5時半まで働いている。パートのため時給は派遣に比べ200円ほど減り、給料は手取りで11万円ほど。「もう一つ仕事を探している」と焦りを募らせる。

 家にパソコンやDVDの再生機はなく、Wi-Fi(ワイファイ)の環境もない。娘は授業動画を見ることができないまま、学校は再開した。「宿題ができていないのは私だけ」と追い込まれ、休校の3カ月でどんどん暗くなっていった。

 母子家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京)の4月のアンケートによると、ひとり親で新型コロナウイルスの影響により収入が減ったのは59%、収入がなくなったのは11%に上った。一方、支出増は96%で最も多かった要因は子どもの昼食代だった。

 2児と暮らす福井県坂井市のシングルマザー(30代)は休校中、放課後児童クラブに行く小学生の子どもに毎日お弁当を持たせた。学校の給食代は低所得のため無料だったから、その分は出費増になった。市が支給する生活応援給付金1万円で自動車保険代は何とか支払うことができたが、貯金はほとんど残っていない。

 感染の第2波が来れば、学校は再び休校になるかもしれない。「目いっぱい働きたいが、子どものことを考えれば余裕のある勤務シフトにせざるを得ない。そもそもパートの仕事は続けられるのか。雇い止めに遭わないだろうか」。先の見えない不安に襲われる。

 シングルマザーらを支援する福井県内の市民団体「フルード」は4月中旬、会員らを対象にアンケートを実施。困っていることとして「工場が減産し勤務時間が減った。家賃が支払えるか心配」「県のマスク購入券は高額なので買うか迷っている」「生きているのがつらい」といった声があった。新型コロナの影響で元夫の仕事が減り、養育費が入らなくなったケースもあるという。

 木村真佐枝代表(48)は「メールでの相談を見ていると、『もう限界』『もう無理』といった言葉が並ぶようになった。今は食料品が欲しいという声が多い」。日を追うごとに悩みが深刻になっていると感じている。

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