拉致問題に関する講演のため来福した横田滋、早紀江さん夫妻=2005年8月28日、福井県今立町(現越前市)いまだて芸術館

 拉致被害者家族会をまとめ、拉致問題解決を訴え続けてきた横田滋さんの訃報を受け6月5日、福井県小浜市の拉致被害者、地村保志さん、富貴恵さん夫妻はコメントを発表し、被害者救出に尽力した滋さんに深い感謝と哀悼の意を示した。福井県内の拉致関係者からも「拉致問題解決のために一生をささげてきた人。娘のめぐみさんと会わせてあげたかった」との声が聞かれた。

⇒横田滋さん死去、めぐみさんの父

 地村さん夫妻は「拉致被害者家族会の代表として、拉致被害者救出に尽力していただいたことに深く感謝している。ただ、滋さんが娘のめぐみさんと再会できなかったことが本当に残念」とコメントした。保志さんは講演で、めぐみさんとは8年ほど同じ北朝鮮の招待所で暮らしたことなどを明かしており、痛恨の思いがにじんだ。

 救う会福井の森本信二会長は「これまで拉致問題解決のために、拉致被害者家族を引っ張ってこられた人。娘のめぐみさんと会うことがかなわず、残念でならない」と話した。横田夫妻は1998年、救う会福井を立ち上げたときの小浜市での集会に参加。「わざわざ遠くから駆けつけてくれ、本当に力になった」と感謝した。人柄にも触れ「物腰が柔らかい優しいお父さんというイメージだが、あいさつを聞いていると娘を必ず取り戻すという信念を感じた。娘を抱きしめたいと、ずっと言っていた」と振り返った。

 全国組織「救う会」副会長の島田洋一・福井県立大教授は「米国政府高官らへの拉致問題解決要請などで一緒に活動した。講演に呼ばれれば、どこにでも出掛けていく人だった。拉致問題解決に人生を懸けていた」と惜しんだ。

 拉致被害者家族は高齢化している現実にも触れ「日本政府は滋さんの死を重く受け止め、危機感を持って解決にあたるべき」と述べた。

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