福井県福井市が市役所窓口に設置していた次亜塩素酸水の噴霧器。「消毒液の噴霧は推奨されない」などとする経済産業省の文書の公表を受け、6月1日に撤去した=4月

 新型コロナウイルス感染症対策で消毒用の次亜塩素酸水噴霧器を設置していた福井県内8市町と県は6月4日までに、撤去や使用中止を決めた。「消毒液の噴霧は推奨されない」とする世界保健機関(WHO)などの見解をまとめた経済産業省の文書が5月29日に公表されたことを踏まえた。次亜塩素酸水の有効性を検証する独立行政法人が「結論が出ていない」とする一方、効果ありとする研究機関の報告もあり、市町の担当者らは「どの情報を信じればいいのか」と困惑している。

 次亜塩素酸水は、塩酸や食塩水を電気分解するなどして作られる酸性の水溶液。新型コロナの感染拡大で不足した消毒用アルコールの代わりに使用する動きが全国で広がっている。

 県内では鯖江市が2月下旬から市役所や全小中学校、一部の保育所に31台、永平寺町が3月上旬から役場や福祉施設などに50台を設置するなど8市町と県が100台余りの噴霧器を使っていた。経産省の公表などを受け、いずれも4日までに撤去や使用中止とした。

 福井市は市内業者から寄贈された2台を1日に撤去した。市施設活用推進課は「コロナへの有効性が現時点で確認されておらず、空間噴霧は人体に害のある可能性があるとの公表内容だったので決めた」とする。越前市も市役所に置いていた3台の使用を4日から見合わせた。しかし、来庁者や職員から気分が悪くなったなどのクレームはなく、担当者は「直近の発表内容は次亜塩素酸水の有効性を調査中で、噴霧については各自判断と曖昧に感じる部分がある。効果があるとする大学の報告もあり、一体どの情報を信用していいのか」と困惑していた。

 経産省は5月29日、WHOや米中衛生当局の「消毒液の人体への噴霧は有害である可能性がある」「人がいる状態で空間・空気の消毒を行うべきではない」などとする見解をまとめた「ファクトシート」を公表し、次亜塩素酸水の空間噴霧についても「有効性、安全性ともに確立された評価方法は定まっていない」としている。

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 経産省の要請で新型コロナの消毒方法を評価している独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」も5月29日、次亜塩素酸水の有効性は現時点では判断できないとして、引き続き検証試験を進めるとする中間結果を公表。NITEは「一定の効果を示すデータも出ているが、有効性を評価するための十分なデータはそろっていない」としている。

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