大阪府のライブハウスで新型コロナウイルスのクラスターが発生し、福井県内のライブハウスでも3月から休業状態が続いている。バンドの練習用に開け始めたところもあるが、本格再開への道筋は見えない。

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 福井市のまちなかにあるライブハウスの老舗「HALL BEE(ホールビー)」。3月のライブは10件中8件がキャンセルになった。予約は4月2日を最後に入っていない。一方、家賃などの固定費はかかる。予定は真っ白なのに、帳簿には支出の項目だけが並ぶ。

 オーナーの男性(60)は「失業状態」と話す。5月下旬にはバンド練習用にスタジオを開け始めたが、ライブがなければ収支は成立しないという。国や県の助成金を受けることができたとしても「数カ月持つ程度」に過ぎない。

 企画から本番までは2、3カ月の時間が必要だ。会場に換気扇はあるものの、感染防止対策としてどれほどの換気が求められるのか、それを満たしているのか、自信が持てない。

 見えない出口に、一時は「閉鎖」の文字もよぎった。ただ、自身も高校1年時にバンドを組み、ギタリストとして音楽とともに人生を歩んできた一人。ライブハウスは発表の場であり、音楽好きが気軽に集って情報交換できる場でもある。「継続しなれければ福井のダメージになる。日々できることをするしかない」と力を込める。

 同じく老舗の「福井CHOP(チョップ)」では、2月下旬から影響が出始め、3月はほとんどが中止・延期になった。再開までに30~40件のライブがなくなり、大きな収入源というドリンク代も入らない。再開しても「密集」になりやすい空間に客が入るか先が読めない。

 国は、5月25日の衆院議院運営委員会で「不特定多数の人が密集して大声を出すので(クラスター発生の)リスクが高い」と指摘。今後、専門家らとの検討の場を設ける考えを示し「感染防止対策がとれれば、6月中下旬から休業要請を解除する」とした。福井県は6月18日まで利用自粛を呼びかけている。

 福井CHOPも、県内出演者分については6月下旬の再開に向けて準備を進めている。ただ、県外の出演者や県外客も訪れるツアーなどは秋まで中止や延期になる見通しだ。経営する男性(61)は「ライブハウス業界は、最後まで再開できないと思っている」と話した。

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