病気かな?ってくらいに買い物が好きだ。財布の紐はそこまで緩くはないはずなので(緩めてもなんも出ないからね)、もっぱらネットでウィンドウショッピングの日々。通販サイトの口コミを比較しフリマサイトをじっくり眺めて終了、挙げ句の果てには住む予定のない遠い町の物件を見比べひとつ選び(バストイレ別、南向き二階以上、オートロックにバルコニー付きなどなど)、そこに似合う家具家電調理器具にカーテン食器ゴミ箱などなど、一式探して何も買わない引っ越さないという若干狂った遊びにハマったりもした(暇か)。そんなわけで、仕事で買い物できるなんて、それはそれは羨ましく思いながら、迷わず本書も手に取った。

 漫画家・吉田戦車が雑誌「FLASH」に連載していたエッセーの書籍化。第二弾となる本書、テーマはタイトルの通り「お買い物」だ。パリで土産物のTシャツ(エッフェル塔のイラストと、花火のように配置された万国旗のデザイン)を買って、娘の友達のママに「こう言っちゃ悪いけど、ダサいです」と嬉しそうに言われたり、さかあがりができない娘のために「鉄棒くるりんベルト」を買ったものの真冬に買ったが運の尽き、寒さに負けて使用せず、そのまま春になっても夏がきてもさかあがりブームが終わってしまったり。猫とのツーショットが撮りたくて、スーパーで並んでいるときにたまたま見つけた、怪しい自撮り棒を買ったり(帰宅後開封したら、日本語はおろか何語の説明書も入っていなかった)、100円ショップで卓球セットを買って娘と遊ぶも二週間で飽きたり、豆乳かき氷機なるものを買ったが、初回から「もう使わない感」が漂うスタートとなったり…。

 うまくいくこともあればいかないこともあるが、吉田の買い物の中で印象的なのは、どこで、誰から、どう買ったかという背景、そして自分がどう使ってきたかという、いわば物語に重きを置いているところだ。実家近くの自転車屋で、ふと思い立って中古の自転車を買ったときは「自転車として、このまま終わるかもしれなかったこいつに、最後のおつとめをさせてやれる」と考えたり、東京ドーム約3.6個分の超大型ホームセンターで卵穴あけ器を見つけたときは「『あの広大な、茨城県も近いため〈干しいもスライサー〉まで売ってたジョイフル本田千葉ニュータウン店で買ったもの!』という思い出がよみがえる」と語っている。上京して以来、三十数年間つれそってきた目覚まし時計が壊れてしまったとき、最後に鳴ったアラームを「別れを告げているのかもしれない」と言い、最後は分別分解をして、お清めの塩と一緒に回収に出したり。ただの道具としてではなく、ともに暮らす仲間としての思いやりに溢れた一冊だ。だから、これはあくまで予想だけど、買ったものは使わなくなってもめったに捨てなさそう。予想だけど。

 買い物が好きだと言うと、浪費家だの散財だの悪く言われがちだが、そんなのどこ吹く風で飄々と、誰に気兼ねすることなく存分に買い物やものとの暮らしを楽しんでいることが伝わってくる一冊。よーし、私も本の中で評価の高かったモンベルのコンパクトヘッドランプと野田琺瑯のポトル、早速買っちゃおうかなー!やっぱりお買い物って楽しい!

(光文社 1300円+税)=アリー・マントワネット

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