レナウン本社が入る建物。経営破綻を受け、福井県の繊維業界にも衝撃が走っている=東京都江東区

 アパレルの名門企業レナウンの経営破綻は、福井県内繊維業界にも衝撃が走っている。福井産地との直接取引は少ないとみられるが、新型コロナウイルス感染拡大で業界が打撃を受ける中、百貨店やショッピングセンターを主要販路とするアパレルの不振に危機感を持つ関係者は多い。「ビジネススタイルの曲がり角」との指摘や国内市場の縮小を懸念する声が広がっている。

 ■「直接影響はなし」

 アパレル製品製造のアタゴ(本社福井市)は、レナウン子会社のレナウンインクス(東京)と取引しており、インナーウエアの素材提案や製造を受注。担当者は「レナウンインクスから、現段階でレナウン倒産による影響はないと報告があった。今後も取引を続けていく」と冷静に受け止める。民事再生手続きの開始はレナウン本体のみで子会社は関係ないという。

 セーレン(福井市)も子会社KBセーレンで若干の取引があるのみで、業績への影響はないとしている。県繊維協会や県織物工業組合によると、福井産地の生地が商社を通じてレナウンに間接的に流通しているケースはあるが、県内企業に破綻の直接的な影響はあまりないとの見方だ。

 ■「他アパレルも苦境」

 セーレンの川田達男CEOは、21日の決算説明の記者会見で「新型コロナの影響で百貨店休業が相次ぎ、業界は非常に厳しい。レナウンと同じように、どのアパレルも(倒産に)直面してもおかしくない」と険しい表情で語った。

 レナウンは百貨店を中心に紳士服や婦人服の高級ブランド販売などに依存。手ごろな価格で商品を展開する「ユニクロ」などの勢力台頭やインターネット通販の拡大で販売不振が続き、新型コロナ感染拡大による百貨店休業が業績悪化に追い打ちを掛けた。

 県繊維協会の藤原宏一会長(広撚社長)は「暖冬に加え、新型コロナの影響で衣料品の店頭販売は激減しており、他アパレルも同様に業績が悪い。(新型コロナで)ただでさえ先々の発注が絞られてきている中、販路先の間口が狭まると業界的に厳しい」と危機感を示した。

 ■「ネット通販が現実」

 「百貨店販売を主体としたビジネススタイルが一つの曲がり角に来ている」とは県織物工業組合の荒井由泰理事長(ケイテー会長)。「衣料は消費者のネット通販利用が現実的となっている。福井産地もファッションの割合がだいぶ減り、自動車関連や産業資材に幅を広げている」と繊維業界の構造変化を指摘した。

 ただ、福井産地は高機能のスポーツウエアなど付加価値を付けた生地の生産・加工を得意とし、高付加価値品は店舗販売に頼る部分が少なくない。県内のニット生地製造の経営者は「高付加価値品を売っていかないと、安価な海外品とは競争できない。国内マーケットが縮小すると厳しい」と懸念した。

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