北陸新幹線の福井以西のルートと敦賀ー新大阪間の概要

 北陸新幹線敦賀以西整備と2023年春の福井県内開業に新型コロナウイルスの余波が広がらないか、県内関係者が気をもんでいる。新大阪までの早期延伸には、JRが国側に支払う施設使用料の「貸付料」増額が鍵を握るが、旅客数激減で不透明感が漂い始めている。県内開業に向けた工事も、新型コロナの収束が見通せない中で作業員の確保や資材調達に不安が漏れる。

 敦賀―新大阪間の建設財源を議論する自民党の北陸新幹線整備プロジェクトチーム(PT)は2月、早期着工に向けた財源について中間取りまとめ案を了承した。2兆1千億円とされている建設財源の柱として▽国費の大幅増▽貸付料を最大限確保▽財政投融資の活用-の3点を明記した。

 JR西日本の長谷川一明社長も3月、福井新聞社のインタビューに対し「(建設財源について)いろいろと考えて対応する必要がある」と述べ、貸付料による財源確保の議論に積極的に関わる姿勢を示した。

 しかし、新型コロナの影響で鉄道利用者は激減。企業のテレワークや出張の自粛は今後も続くとみられ、JR西は21年3月期の業績予想を「未定」とした。

 県関係者は「JR西の懐事情が厳しくなり、財源議論どころでないのでは。新型コロナの感染が拡大する前は良い流れだったのに…」と表情を曇らせる。

 国費の大幅増に関しても、新型コロナに伴う大規模な財政出動で、新幹線の財源議論が後回しにされかねないと見る向きもある。整備促進へ機運を盛り上げるため沿線10都府県でつくる同盟会が例年5月に東京都内で開いている建設促進大会も延期となった。県議の一人は「とにかく今は早期収束を待つだけ」と祈るように話した。

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 23年春の金沢―敦賀間の開業に向けても、迅速な工事と新型コロナの感染防止の両立に緊張感が漂う。開業3年前倒しにより、ただでさえタイトなスケジュールになっているからだ。

 4月上旬から県内でレール敷設が進み、夏ごろからは架線などの電気工事や駅舎工事が始まる。レール工事はおおむね21年度内、駅舎など建築工事は22年内に終える予定で、終了後は検査や試運転、訓練運転にも一定期間を要する。

 大手ゼネコン各社は4月中旬から5月上旬まで、感染防止を理由に全国の建設現場の工事を原則中止にした。金沢―敦賀間の工事に関し、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は「詳細は回答を控える」としつつ「現時点で開業時期に影響はない」とする。

 県鉄筋協同組合理事長を務め、新幹線工事に携わる北成鉄筋工業(鯖江市)の北川貞純社長(56)も「関西、中京出身の職人(鉄筋工)が多いが、コロナで県をまたぐ移動が自粛になったので地元に帰りづらくなった。福井県内にとどまることになって、工事は予定通り進んだ」と述べる。

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 県内の感染第1波は落ち着きを見せた。だが第2波の不安は消えない。工事関係者に感染者や濃厚接触者が発生し、県外からの移動が制限される事態になれば作業員の確保や資材調達に影響が出て、工程に響く可能性もある。県新幹線建設推進課の担当者は「一にも二にも感染防止策の徹底。それしかない」と語った。

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