【越山若水】この上なくシンプルで、力強いスローガン。「前へ」。一度は耳にしたことがあるだろう。明治大ラグビー部の故北島忠治監督が67年間の在任中、選手たちに言い続けた言葉である▼スポーツである以上、勝つことが重要だ。しかし北島監督は困難な状況でも逃げずに前へ突き進み、乗り越える生き方を学んでほしいと考えた。横にパスを出せばトライできる場面でも、ひたすら前へ押すスタイルを貫いた。この堅固な精神は同部の代名詞になった▼新型コロナウイルスの影響で、プロ野球やサッカーJリーグ、大相撲などあらゆるスポーツ競技が中止に追い込まれている。学生スポーツも例外でなく、春の選抜大会や夏の全国高校総体(インターハイ)は見送り。8月の甲子園野球も中止の方向で調整中だという▼若い選手には突然のコロナ禍が恨めしく、つらく厳しい試練に絶望感も覚えるだろう。しかしこんな時こそ、北島監督の教え「前へ」を思い出してほしい。壁にぶつかったり、困難に出合ったりしたとき、横や後ろに逃げないで、とにかく前進する姿勢を大事にする▼さらに本紙の連載でも、県内出身のアスリートたちがこの難局に「前を向こう」と激励してくれる。先輩もまた同じ苦しみに直面しながら、前向きに頑張っていることが分かるはず。みんなの背中を押してくれる助言・提言はこれからも掲載される。

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