【論説】政府は、全国を対象にしていた新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を、福井など39県で解除した。これを受けて各県は社会経済活動の自粛を徐々に緩和していくことになる。ただ、多くの専門家が第2波の到来を予測している。ワクチンなどが開発されていない以上、今後もウイルスとの闘いが続くと想定し、備えに万全を期す必要がある。

 今回の宣言解除では「人口10万人当たりの新規感染者0・5人未満」などの目安が設定された。福井県は4月29日から16日連続で感染が確認されていない。政府や県の要請に協力した県民の行動の成果といえるだろう。一方で、北海道や韓国、ドイツなどでは緩めた途端、感染が拡大。愛媛県では昨日、新たに17人の感染が確認されたという。

 再び感染拡大の兆候があれば躊躇(ちゅうちょ)なく自粛へ戻る、そんな姿勢を持ち続けなければならない。自粛と緩和の繰り返しを覚悟し、コロナ制圧まで影響を最小限に抑える社会をつくっていくしかない。そのためには「3密」の回避や手洗いの励行、マスク着用、店舗などのこまめな消毒など一人一人が「新しい生活様式」の徹底を図るべきだ。

 感染が一定程度落ち着いたことを生かして、まずは医療体制や保健所機能の再構築、防護服など医療資源の確保などに注力する必要がある。特に、感染再拡大の端緒をつかみ「出口戦略」の指標とするためには、PCR検査や抗原検査の拡大、さらには抗体検査の導入も欠かせない。

 県境をまたぐ人の移動の自粛を求める場合、観光産業などへの影響は依然大きく、クラスター(感染者集団)が発生しやすい業態への休業要請にしても、それに伴う支援は不可欠だ。事業者の破綻を食い止めるのも、政治の使命であり、地方の取り組みを国が財政的に支える臨時交付金の増額は無論、家賃補助や学生支援など第2弾の補正予算を早急に打ち出すべきだ。

 きめ細かな情報開示も忘れてはならない。PCR検査を巡り厚生労働省は「体温37・5度以上」を削除し、軽い風邪症状が続けばすぐに相談するよう目安を変更した。その際、加藤勝信厚労相は従来の取り扱いに関し「われわれから見れば誤解」と保健所など現場へ責任転嫁するような発言をした。これでは国民の信頼は得られない。

 これまでの政府の対応には、後手に回ったとの批判があり、世論調査でも6割近くが「評価しない」と回答している。「アベノマスク」など官邸の一部の声で決定することが常態化していないか。異論にも耳を傾ける謙虚さと、言葉だけではない素早い決断こそが求められている。

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