【越山若水】「籠城じゃ。家にいよう。みんなで打ち克(か)とう」―。そんな言葉と熊本城の写真を組み合わせて、外出自粛を呼びかけるポスターが評判になっている。新型コロナ対策に活用してもらおうと熊本ゆかりのカメラマンらが製作し、市に無償提供した。熊本城を築いた加藤清正なら言ったかもと思わせるユニークなポスターだ▼敵の攻撃を防いで城に立てこもる籠城戦は、援軍を想定しての戦術だった。援軍と連携し、城攻めの相手軍を挟み撃ちにする。ただし、外部から応援の見通しのない籠城で勝つのは難しかった▼戦国時代に越前を治めた朝倉氏は、頑丈な土塁で一乗谷城内への出入り口を固め、山城に敵の横移動を防ぐ畝(うね)状竪堀を多数築くなど防衛に力を入れていた。しかし織田信長軍に攻められると、籠城をあきらめ大野へ逃走。その途中で当主義景は自害した▼「朝倉氏がもし籠城し、越後の上杉氏と連携すれば滅亡を免れた可能性がある」。歴史小説家の赤神諒さんが講演で語っていた。興味深い仮説だ。とはいえ、籠城には水と食糧が欠かせず、一乗谷の場合、十分な食糧の確保ができただろうか▼さてきのう、延長されていた緊急事態宣言が福井県など39県で解除された。現代の籠城戦はなんとか持ちこたえることができたが、今後、感染流行の第2波が心配だ。気を緩めず、ワクチンなど“援軍”到着を待ちたい。

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