【論説】新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、子どもに無償や安価で食事を提供する「子ども食堂」の多くが、全国で開けない状態となっている。子どもに食を届けたい、つながりを保ちたいとの思いで、テークアウト方式などに切り替え支援を続ける団体は多い。収入減の家庭が増える中で、子どもや困窮家庭をどう守るか、さらには子ども食堂の活動をどう支えるか。地域全体で考えるべき問題だ。

 民間の調査によると、全国の9割の子ども食堂が休止しているという。コロナ禍により会場が使用できないことや、食材や資金の不足、感染拡大への不安などが要因だ。高齢スタッフを感染から守るために活動を縮小している例もある。これまで大勢の中で温かい夕食を食べることができた子どもらへの支援の輪が、途切れ掛かっている状態だ。

 ただ、休止しても半数の団体は「外出自粛などで子どもたちを孤立させてはいけない」と知恵を絞り、弁当配布や宅配に切り替えている。福井県内で最も早く活動を始めた敦賀市の「青空」なども、場所を屋外に変えての弁当配布や市民に持ち寄ってもらった飲食品の提供など活動を続ける。

 子ども食堂が注目されてから10年弱。家庭、学校に次ぐ“サードプレイス”になっている団体も多いという。子どもの食を守るだけにとどまらず、家庭や社会から孤立しがちな子どもらが安心して過ごせる“居場所”へと進化してきた。

 さらに子どもや困窮家庭のためだけでの場所ではなくなってきている団体もあり、地域内交流、多世代間交流の拠点としての役割も担いつつある。子どもにとっては、スタッフや地域の人ら多くの大人と触れ合う中で、社会や人間関係などを学べる意義も大きいだろう。

 市民らの善意で成り立つ子ども食堂だが、課題も多い。県内はじめ多くの団体が運営費やスタッフの確保に苦労しているのが現状だ。寄付のほか、農家からの野菜やコメの提供などはあるものの、団体の自己負担で成り立っている場合もある。開催回数を増やしたくてもできない状況にある。

 全国で子ども食堂が増える中、県外では支援を手厚くする自治体も増えている。開設補助や、開催ごとの助成金支給などの金銭支援のほか、ネットワーク構築、フードバンクの呼び掛けなど、さまざまな支援策を設ける。県内でもどのような支援が可能であり、何が適切なのかを行政や地域が一緒になって考えていかなければならない。

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