【越山若水】児童書の「ざんねんないきもの事典」(高橋書店)をご存じだろうか。動物学者の今泉忠明さんの監修で、生き物が進化によって図らずも手にした奇妙な生態や弱点を紹介している▼この一冊が「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」で2回連続1位に輝いた。シリーズ4作ともベスト10に入る快挙。その理由を今泉さんは「普通は進化はすごい。みんな頑張れとなるが、この本は進化の落ちこぼれの話なので、安心できるのでは」と分析する▼確かに速さを追求した揚げ句、攻撃力と防御力を失った弱虫チーター。鳥の卵が好きすぎて歯が退化し、卵のない時期は絶食に耐えるタマゴヘビ。異常発生のため食べ物を求め何千キロも大移動し、最後は共食いの運命に行き着くサバクトビバッタなど変わり種は多い▼ただ同書で今泉さんが一番に指摘するのは「進化と退化は裏表である」「進化の道は一方通行で、一度失った能力は二度と入手できない」という事実。例えば、魚類やは虫類から進化した人間は、水中で呼吸はできないし、気温に合わせ体温を変えることもできない▼地球温暖化がこのまま進行し、陸地が水に沈み、異常な暑さに襲われると、絶滅の危険性がある。だから将来、人間が“残念な生き物”と呼ばれないため、地球の環境を壊さず大切にしようと訴える。子どもに限らず、大人にも届けたい警告である。

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