ボートの武田匡弘選手

 中学生だった2011年、全国選抜大会が東日本大震災で中止になり、当時は「何でなんだろう」という思いを抱いたのを覚えています。その時は選抜大会が中止になっただけで、4月からは大会が行われたのでモチベーションは保てました。でも今は、部活動ができず大会もあるのか分からず、中高生の皆さんはつらいと思います。

⇒【前を向こう】中高生にトップアスリートからエール

⇒【写真】武田匡弘選手から激励メッセージ

 僕も東京五輪が1年延期になり、代表選考も中断していて先が見えない状況です。それでもやることは変わらないし、ここで腐らずにやれるっていうのが本当の強さだと思います。逆に今はナショナルチームの合宿もなく時間があるので、自分がやってみたかったトレーニングをしています。そういう意味では自分が強くなるチャンスかなと思っています。

 ボートをやってきて苦難に直面した時もありました。でも、そういう時って考える時間が増えて、いろいろな角度から見ることができるので、競技者として成長できました。昨年は五輪種目の軽量級ダブルスカルでの世界選手権出場を逃しました。代表になれずすごく悔しかった。でも、まだ足りないものがあるなって感じて、そこからダブルスカルのテクニックをさらに磨きました。つらい経験をした時は自分の成長につながります。

 中高生の皆さんは、今のこの状況を受け入れられない時だと思います。「何で自分が」って思うかもしれませんが、それはみんな同じです。この現状を受け入れられれば選手としても一人の人間としても、今よりも成長できるはずです。

 今までの努力や積み重ねてきたものが無駄になるかといえばそうではありません。これから先の自信、財産になるはずです。大会があるかどうか分からない状況ですが悲観せず、自分がやるべきことを見失わず、何をやるべきかしっかり考えてほしいです。

 僕も五輪に向けて、今やるべきことを悔いの残らないようにやって、来年、五輪に出場できるように頑張っていきます。

 ■武田匡弘(たけだ・まさひろ) 美浜南小学校-美浜中学校-美方高校。関西電力所属。2014年にU19(19歳以下)代表に選ばれた。18年ジャカルタ・アジア大会軽量級ダブルスカルで優勝。今年3月に予定されていた日本代表クルー決定レースの出場権を得ていた。23歳。

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、スポーツ大会が相次いで中止に追い込まれた。汗と涙をぬぐって頑張ってきた成果をどこにぶつければいいのか、と悩む中高生のみんなを勇気づけたいと、福井出身の選手たちが自らの体験を踏まえたエールを寄せた。

 福井出身の選手たちが福井県の中高生アスリートにエールを送る「前を向こう」。福井新聞は「前を向こう」で紹介した選手への激励メッセージを募集します。選手たちに皆さんから激励メッセージを送りませんか?選手に届けます。 →メッセージ投稿はこちらから

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