【論説】政府は新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言に関して、東京都など13の特定警戒都道府県に対して5月末まで延長した。一方、それ以外の福井県など34県では「新しい生活様式」により命を守るための感染拡大防止と、暮らしを守る社会経済活動の双方を成り立たせる方針を明確にした。

 政府の専門家会議は提言で米英両国が「1年以上にわたる対策の必要性を予想。一定の再流行を想定している」とした。その上で日本も小康状態と再流行を繰り返す「長丁場」を前提に対策を講じる必要性を指摘した。今回の措置は第2、第3波を乗り切る一歩にしなければならない。

 ただ、「きょうから家族で外食や外出もOK」などと言われてもすぐに行動を起こせるのか、懐疑的な県民も少なくないはずだ。新型コロナに感染した著名タレントや俳優、中には身近な人の訃報を耳にし、ここ2カ月近く自粛生活を当然のこととしてきた身には一足飛びの「緩和」に違和感を抱くのも仕方がない。

 しかし、短期間での終息が見込めない以上、経済活動を維持しながらの持久戦はやむを得ない。福井県などが打ち出した自粛要請の解除といった対応策はこうした考えに基づく。一方で、以前のような無防備な生活スタイルには戻れないと覚悟を新たにすべきだ。

 「新しい生活様式」とは密閉・密集・密接の「3密」回避、マスク着用、こまめな手洗いや人との距離の確保など、感染拡大リスクを下げる個人レベルの対策に加え、テレワークや時差出勤、テレビ会議など仕事面の対策の徹底などが挙げられる。飲食店など事業者側も席の間を開けたり、消毒液でこまめに拭き取ったりするなどの措置を講じてもらいたい。

 福井県の場合、石川、岐阜、京都の3隣府県は特定警戒地域であり、緩和した際に、こうした県や首都圏などからの客が集中する可能性があり、感染リスクが高まる恐れは否めない。越境をどう止めるか、他の自治体との連携が欠かせない。

 緊急事態宣言の基となる新型コロナ特別措置法では、自粛要請などは都道府県知事の裁量に委ねられるとし、政府はその調整役を担う。ただ、政府がそれをいいことに対策などを自治体任せにするようなことはあってはならない。

 再流行に備えるためには従来から課題になっているPCR検査の拡充や、医療体制の再構築などが急務だ。政府は確実に進めなければならない。持久戦の「出口」として治療薬やワクチンの開発も加速する必要がある。安倍晋三首相は「緊急事態の収束のための1カ月」と述べたが、ならば全力で責任を果たさなければならない。

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