仕事に向かう会社員。福井県内でも感染から回復した人たちが職場復帰している(写真と本文は関係ありません)

 新型コロナウイルスの感染から職場復帰した福井県内の自営業男性は、従業員に温かく迎えられて安堵した。入院中は、濃厚接触者として自宅待機となった従業員たちと、体調の無事を互いに日々報告して励まし合ってきた。そんな仲間に気を煩わせまいと、今は駐車場の車中にこもって昼食を取っている。「感染症を克服はできても感染した事実は消えない」。自責の念にさいなまれながら、懸命に再び前へ進もうとしている。

 最初の症状は38度台の発熱。PCR検査で陽性が判明すると、取引先には「今から入院します。すみません」と一通り連絡した。保健所の指示で事業所は2週間の閉鎖となり、打ち合わせを共にした複数の従業員が濃厚接触者として自宅待機を求められた。

 軽い肺炎との診断もあったが、37度台の熱が数日続いた後に体調は回復していった。入院中は毎日朝夕、健康観察中の従業員たちと連絡を取ることが心の支えになった。「仕事のことよりも『きょうは何度?』と体温のことばかり聞いていた。うつっていないことが分かって、本当にありがたかった」

 自身も2週間余りで陰性が確認され、退院できた。その頃には、自宅待機の期間を終えた従業員たちが、事業所を再開していた。退院翌日に顔を出し、丁寧におわびの気持ちを伝えた。「無事で良かったですね」との言葉が返ってきた。辞めると言われないか不安だったから、いつもと変わらない感じがうれしかった。

 看護師からは、退院後もゴールデンウイークが終わるまでは外出をなるべく控えるように指導され、事業所で過ごすのは1日数時間に抑えた。昼食時は従業員から離れ、妻が作ったおにぎりやコンビニのパンを、車中でほおばる。「みんなおくびにも出さないけれど、食事中に自分が一緒にいるのがもし気になっていたら、迷惑になるから」

 取引先からは厳しい反応もあった。「迷惑をお掛けしたおわびのために電話をすると、『自己管理に気を付けないと。もっと早く検査をしないと』とおしかりを受け、心がすくんでしまった。立ち直るのに数日かかった」。相手の反応から、今後の関係が途絶えてしまいそうで心配な人も何人かいる。

2時間の食事会で感染?「まさか」

 「仕方ない。かかりたくてかかったんじゃないとはいえ、すべては自己責任。注意していれば感染は防げた。この年で不覚を取った」。自分を責め続ける一方で、仕事をまた軌道に乗せるのが従業員への報いだとも感じている。「感染が枝分かれで広がっていたら、もっと大変なことになっていた。ダメージはあるけれど、まだやり直しはきく。負けられない」

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