鉄道博物館に寄贈を予定している、越美北線美山駅(福井県)付近を走行する蒸気機関車の写真(南正時さん、1972年撮影)

 福井県越前市出身の鉄道写真家、南正時さん(73)=東京=が半世紀以上にわたり撮りためた写真が、鉄道ファンの聖地「鉄道博物館」(埼玉県さいたま市)に収蔵されることが決まった。膨大なフィルムの中から、デジタル化作業を終えた蒸気機関車(SL)約300点を第1弾として収めた。南さんは「子どもたちがいつでも見られるようにしてもらえたら。5年間ほど掛けて1万~1万5千点を寄贈したい」と話している。

 鉄道写真を撮るのが趣味だった南さんは1970年にプロのカメラマンになり、71年から漫画週刊誌でSLのカラーグラビアの連載を担当。以来、国内外を回り、風景を取り入れた鉄道写真を撮影してきた。

 撮影のため定期的に訪れていた宮城県の女川港の風景が、2011年の東日本大震災で一変したことにショックを受けて「昭和期から撮影してきた昔の写真を後世に残すべきだ」と思うようになったという。南さんの思いを知ったJR東日本の元役員の仲介で、2月下旬に博物館への寄贈が決まり、写真の展示や印刷物への利用などについて取り決めを結んだ。

 寄贈予定の写真で最も古いのは、1964年に撮影した試運転中の東海道新幹線。米原駅付近を走行中の北陸線の車窓から撮ったという。約千点を寄贈する予定のSLでは、越美北線を煙を上げて走る8620形、武生駅に停車するD51など福井県内で撮影した写真も含まれている。

⇒南正時さんが語る新幹線への愛

 鉄道博物館の担当者は「これだけまとまった数の寄贈を受けることは珍しい。来館者に広く見ていただけるようにしたい」と歓迎している。

 南さんはデジタル化作業とともに撮影場所・日時などの整理を進めていて、ブルートレインや欧州の国際特急などテーマを決めて順次寄贈していく計画。「写真を残すことができ一安心している。活用についても提案していきたい」と喜んでいる。
 

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