新型コロナウイルスに関する相談を受け、帰国者・接触者外来につなぎ、検査の結果を伝え、行動歴を聞き取る。退院後は心のケアを行う―。福井県内の保健所で新型コロナの対応に当たっている保健師に電話取材した。心ない誹謗(ひぼう)中傷を受け「死にたい」と口にする感染者もおり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を念頭に置いたケアが欠かせない。「感染者は悪くない。退院後は普通に接して社会復帰できるよう、社会全体で支えてほしい」と強く訴えた。

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 「陽性」であることを伝えると、相手は周囲や職場に迷惑を掛けてしまうとか、何か言われるんじゃないかとか思い悩む。泣いて話ができず、家族と電話を代わることもある。

 発症前2週間の行動履歴を本人から聞き取るが「(関わっていた人に)迷惑が掛かるから言えない」という人もいる。本人や家族の勤務先からは「特定されないようにしてくれ」と強く言われることもある。みんな「悪者扱い」されることを恐れている。そのため聞き取りが十分にできず、感染拡大防止に不安を感じることがある。

 家族などの濃厚接触者には毎日電話して健康観察を行う。消毒や家族の動線を分けること、別々の食事、頻繁に手洗いをすることなど感染予防のポイントを伝える。ただ、家族内感染も出始めており、どこまで周知できているか難しい。

 一方で市民からは「感染者の名前を教えろ」「(感染者と決めつけて)××の家族が歩いている」といった電話がある。退院した人からは「コロナが歩いている」「お前が××にうつした」「人殺し」と言われたと聞く。退院後も、精神的に追い詰められ「死にたい」と漏らす人もいる。

 家族も同様だ。勤務先や周囲からひどいことを言われ、やせてしまった人たちもいる。保健師として何もしてあげられない無力さを感じることもある。本人や家族のつらさを、どうか分かってあげてほしい。

 誹謗中傷の多くは、インターネットによるもの。匿名だから何でも言える。会員制交流サイト(SNS)などでは事実ではないことが出回り、訂正もできない。ウイルスという見えない相手との闘いには大きな不安が伴う。だから(感染者という)見える相手を見つけたときに、標的にして攻撃したいという思いになるのだろうか。

 回復した人には、退院後も電話を入れるようにしている。PTSDを患わないかを、常に頭に入れながら対応している。退院した人、その家族たちの深い苦しみを思い、周囲の人は普通に接してあげてほしい。犯人捜しのような行為は絶対にやめてほしい。そして社会復帰ができるよう支えてあげてほしい。自分たちだって、いつ感染するか分からないのだから。

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