大飯3号の定期検査に向け、感染防止対策を説明する文能一成発電所長(左から2人目)=4月24日、福井県のおおい町役場

 福井県おおい町にある関西電力大飯原発3号機が5月8日、定期検査に入る。通常なら地元の飲食店や宿泊業の書き入れ時だが、新型コロナウイルスの感染拡大で住民の思いは複雑だ。関電は感染防止対策の徹底で「絶対に持ち込ませない」と強調するものの、不安の声が消えない。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)には、原発の作業員からも「現場の感染リスクは高い」との懸念が寄せられている。 ⇒「ふくい特報班」LINE友だち登録はこちら

 大飯3号の定検は8月まで行われる予定。福井県外の約900人を含む約1800人が作業に加わり、1日当たり約3600人が出入りする計画だ。

 おおい町の中塚寛町長は4月21日、定検開始に向けて関電に感染防止の徹底を念押しし、同じく原発が立地する美浜、高浜両町も要請した。県も23日に新型コロナの「県民行動指針」の活用を関電に伝えた。

 これに対し、大飯発電所の文能一成所長は24日、おおい町会全員協議会でコロナ対策を説明した。来県2週間前から作業員の体調と行動をチェックし、異常があれば「町に入らせない」と述べた。来県後も行動履歴や体調把握に努めているとした。

 町議からは「2週間前からチェックというが、自宅待機ではない。信用性が担保できない」と厳しい指摘が飛んだ。文能所長は「ウイルスを絶対に持ち込まない」と決意を述べた。

 関電は具体策として、作業員が通勤バスの乗車前に並ぶ際の間隔確保、マスク着用義務、窓開け換気などを挙げる。だが、通勤バスの様子について、おおい町の60代男性は「定検前の今の状況でさえ、朝夕は満員。対策が十分とはとても見えない」と指摘する。

 心配な気持ちは作業員も同じだ。「ふく特」に不安を寄せた作業員は24日、福井新聞の取材に対し「今働いている現場は狭く騒音があるため、マスクを外して近距離で会話するなどコロナ対策はされていない。作業員の感染リスクはとても高い。怖い」と切実に訴えた。

 大飯原発のある大島区の60代男性は「感染者が出ればデイサービスが休止になるなど高齢者や弱者にしわ寄せがくる」と心配する。今は原発の運転よりもコロナ対策を優先してほしいとし、「慌てて動かす必要はない。検査期間を延ばし、感染防止第一でゆっくりやってほしい」と話した。

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