休校が続いている米国メリーランド州にある二女の高校。普段は生徒がスクールバスの乗り降りで使っている駐車場もがらんとしていた=2020年4月13日、筆者家族撮影

 新型コロナウィルスの感染拡大が止まらない。4月19日付ワシントン・ポスト紙は、世界191カ国で91%にあたる生徒・15億人以上が休校の影響を受けていると書いている(ユネスコ、国連教育科学文化機関調べ)。米国メリーランド州にある二女の高校も「CLOSED」になって1カ月経った。

 長女と二女は、日本でも長い休校を経験している。東日本大震災の時に液状化現象で上下水道に大きな被害が出て、いつ再開するのかわからないまま、突然その学年は修了となった。痛ましい震災の記憶とともにそのことは心に引っかかっている。

 休校をいつ、どのような形で、だれが判断するのか。その難しさは米国も同じらしい。メリーランドは3月5日、州内初感染者確認と同時に非常事態宣言を出したが、その時点で休校に関する指示はなかった。

 だが、それに納得できない保護者は少なくなかったようだ。「感染が落ち着くまで登校させない」という親からの欠席連絡を受け、二女に「対応に苦慮している」と漏らす教師もいた。インターネットでは地域の学校を管轄する郡教育委員会に休校を求める請願が次々立ち上がった。中でも、速やかなリモート教育の準備を求めた請願は2日間で4000人の署名を集めた。

 一方、郡教委はこうした声に、「今回の休校は州保健局が決定する」ことを連日メールで伝え続け、「感染を避ける理由で登校しない生徒に対し、追試などの柔軟な対応をとる」ことなどで理解を求めた。

 それでも、いつまでもこうした動きは無視できなかったのだろう。非常事態宣言から1週間後の12日、帰宅した二女は、「そろそろ教育委員会が苦情に対応しきれないので、間もなく休校が決まるのでは、と先生から聞いた」と話してきた。その見通しどおり、同日、州知事と州保健局が週明け16日からの州内全学校休校を命令した。

 もっとも、親の不安を払しょくさせたのは、休校決定の事実よりも、その際、郡教委が行ったアナウンスだろう。州は当初、休校の期間は3月下旬までの2週間と発表した。だが、郡教委は「学校の“閉鎖”はさらに長引く可能性があり、もし休校が長引いても対応できるよう、この期間中にリモート教育の準備をする」意思を明確にした。

 実際予想された通り、休校措置は2度延長された。今は外出禁止令が出され、そのころよりさらに厳しい状況になっている。州の感染者数は22日現在、約1万5000人に拡大した。だが新しい教育計画が示され、それに沿ったリモート教育が始まったことで、保護者も子供たちも落ち着きをみせている。

 明確に求めていることを示す親たちの姿勢にも、スピード感を持ってそれらの声に対応する管理者たちの姿にも、今回の休校は前例のない事態だからこそ、学ばなければならないところは多い。(渡辺麻由子)

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 夫に同行し米国生活する筆者が現地の生活をつづります。子どもを通して見えてきた教育事情や働き方の違いなどを紹介します。

 ■渡辺麻由子(わたなべ・まゆこ) 元福井新聞記者。結婚を機に福井を離れ、退職。夫の留学で2012~13年米国マサチューセッツ州で生活し、帰国後フリーライター・編集者として活動。夫の転勤で18年カリフォルニア州、19年からはメリーランド州で暮らしている。ハイスクール2年生の二女と、カリフォルニア・ロサンゼルスに残り、大学に通う長女がいる。

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