小杉織物が商品化した絹マスク=福井県坂井市丸岡町猪爪

 浴衣帯で全国トップシェアを誇る小杉織物(本社福井県坂井市丸岡町猪爪、小杉秀則社長)が、帯に使う自社の素材を活用して「洗える絹マスク」を商品化した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で帯の注文が滞り、生産ラインを大幅に縮小させている中、1週間ほどで実用化にこぎ着けた。

 浴衣帯は祭りをはじめとするイベントなどでの需要が大きく、新型コロナウイルスで社会活動が停滞する現在、注文が入ってこない状況。24時間365日稼働させていた生産ラインは、今月に入り2分の1ほどに縮小した。1、2カ月は仕事があるものの、その先は見えていないという。

 9割のシェアがあるだけに、同社の危機は浴衣帯産業の衰退に直結しかねない。そんなとき「帯で使う生地でマスクを作ったら…」と感触がガーゼに近い絹の活用を思い立った。2重織りになっている同社の生地をさらに筒状にすることで4重にした。無縫製で製織する独自の技術を使い、労力も抑えた。

 課題となったのがマスクの形状を整えるワイヤと中に挟むフィルター、耳に掛けるゴムの調達。マスク需要の急拡大によりメーカーに在庫がない中、一部の帯商品で使っていた形状記憶ワイヤを使用した。帯の硬さを出すために入れていた高密度不織布の芯地をフィルターに代用し、ゴムは織機を使って自社で作った。

 特長について同社は▽息が楽▽5重構造▽肌に優しい▽保湿性、吸湿性、防臭作用が高い―などと説明。取引のあった京都市の和装小物大手専門店などを販売元に1枚1500円(税別)で売り出すことになり、既に万単位の発注が来ている。消臭効果のある銀イオンを使ったマスクの試作品も完成したという。

 生産ラインの縮小により社員の出社を制限していた小杉織物は8日から全員出社に戻し、24時間体制で絹マスクの生産に入った。「社員みんなが働ける環境になってよかった」と小杉社長。インターネットで自社販売も行い、「できるだけ困っている県民の皆さんに優先して販売したい」と話している。詳細は小杉織物のホームページで確認できる。
 

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