ろう者に正確な情報を伝えるため開設したテレビ電話による相談窓口=福井県の坂井市役所

 情報が届きにくいとされるろう者が、新型コロナウイルス感染防止に向けた対応策を正しく理解できるよう、福井県坂井市はテレビ電話による相談窓口を開設した。関連情報を分かりやすく解説した小冊子も作り、ろう者がいる市内35世帯に配布。正確な情報を提供することにより感染リスクを低減したい考えだ。

 市社会福祉課によると、「手話と日本語は異なる言語」というほど違いがあり、抽象的な言葉やあいまいな言い回しの日本語の文面が苦手なろう者は少なくない。新型コロナウイルスの感染防止について見慣れない言葉もあり、ろう者が正確な情報を得られているか懸念があるという。

 電話での問い合わせができないろう者には、ファクスやメールによる文字でのやりとりという手段があるが、時間と労力が掛かり、返事を待つ間にも不安が募る。このため、緊急時に手話で問い合わせできるオンライン窓口を開設した。

 会員制交流サイトLINE(ライン)のビデオ通話を利用する。専用モニターを社会福祉課に置き、手話通訳士2人とろう者1人の計3人の職員が対応する。利用対象者は聴覚障がいのある市内在住者。平日の午前8時45分から午後5時まで受け付ける。配布された小冊子に付いているQRコードから登録できる。

 小冊子では「3密」「濃厚接触者」「外出自粛要請」など、よく使われている言葉の意味をイラスト付きで解説。感染の可能性を感じた場合の対応や予防策なども短い文章とイラストで端的に伝えている。

 社会福祉課職員で自身もろう者の澤村和哉さんは「理解不足により不要不急の外出をしてしまうなど、ろう者の感染リスクが高まる心配がある」と指摘。仮に感染して隔離されることになった場合、周囲に誰もいないストレスから混乱する可能性もあり、そうならないためにも窓口と小冊子の活用を呼び掛ける。

 スマートフォンなどの端末を持っていない対象者でも、LINEを利用できる家族や近所の住民に登録してもらって利用してほしいとしている。

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