福井労働局の窓口。雇用調整助成金の相談・申請が急増している=福井県福井市の福井春山合同庁舎

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、福井県内の飲食業者など中小零細企業は売り上げが激減し、厳しい局面が続く。事業縮小や休業を余儀なくされるケースが相次ぎ、福井労働局には従業員の休業手当を補助する雇用調整助成金の相談が急増している。国は非正規雇用者も対象にするなど拡充したが、支給要件や煩雑な書類作成が壁に。事業者からは「もっとハードルの低い制度にしてほしい」との声が上がっている。

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 2月に福井市内でカフェをオープンした50代男性は、3月下旬から店内飲食を中止した。「3月は売り上げが前月の半分になり、開業したばかりで二重、三重苦という状態」と漏らす。テークアウトと配達に絞ったことで、5人のアルバイトは自宅待機にした。「バイトは接客や調理のスキルがある。また来てもらうためにも休業手当を払いたいが、新しい店は助成金の対象外」と話す。

 同制度では、1カ月の売り上げが、前年同月比で5%以上減少していることが条件。特例措置により昨年12月との比較も可能にし条件は緩和されたが、開業した店は門前払いだ。

 30代美容師は、1月にオーナーから福井市の店舗を買い取り独立。助成金を申請しようとしたところ、事業主が替わったことを理由に、新規オープンと同じ扱いとなり申請できなかった。「従業員や顧客の感染防止を考えると休業したいが…」と制度に対し不満を口にする。

 申請には賃金台帳や出勤簿をはじめ、売上高の確認書類や年間の休日カレンダーなど多くの提出書類が必要。同労働局の担当者は「リーマンショックの際には製造業が主だったが、今回は小売りや飲食、サービス業の小規模な事業者の相談が多く、手続きに戸惑うケースも見られる」と話す。

 同局では2月14日に特別相談窓口を設置するなど対応を強化。3月27日までに寄せられた相談672件のうち、雇用調整助成金関係は339件と最も多い。国は6月末までを緊急対応期間として、申請書類などの大幅な簡素化を図っている。

 福井市に事務所を構える社会保険労務士、今井順也さん(43)は「制度が複雑な上に、給与明細やシフト表、タイムカードなどを確認しながら申請書を作るのはかなりの手間」と、特に零細企業の負担感を懸念する。申請に必要な売り上げの要件についても「前年同月より店舗が増えるなど規模が拡大した事業所は、比較しても5%減にならない。緊急対応期間に限り、売り上げ要件を撤廃すべきだ」と訴える。

 ■雇用調整助成金 景気の変動、産業構造の変化など経済上の理由により、事業主が従業員の雇用を維持しながら休業させる場合、休業手当の一部を助成する。新型コロナにより業績が悪化した場合、中小企業では最大10分の9の助成が受けられる。助成額は申請する会社の定めた休業手当ではなく、前年度の平均賃金が基準となる。上限は1人日額8330円。

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