需要が減り冷蔵室の中で積み上がった日本酒=4月10日、福井県大野市の酒造場

 新型コロナウイルスの感染拡大が、福井県内の酒蔵や酒販店にも影を落としている。外出自粛により首都圏や県内外で飲食店休業が相次ぎ、商品の納品量が急減、在庫の山となっている。感染拡大が需要期の3、4月の歓送迎会シーズンと重なり直撃した形だ。

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 宇野酒造場(大野市)は売り上げの6割以上が関東圏。卸業者を通し、約200軒ほどの飲食店や酒販店に販売している。宇野信裕社長は「(コロナウイルスが拡大し始めた)3月に入り注文が減りだした。4月はほとんどなく大打撃だ」とうつむく。

 3~4月の売上高は前年同時期の2割ほど。関東圏に限れば1割ほどに落ち込んでいるという。酒を保管する冷蔵室には、出荷のめどが立っていない商品が背丈以上の高さまで積まれている。「打開策はなく、どうしようもない。今は我慢するしかない」

 田辺酒造(永平寺町)は、東京五輪需要などを見据えて高級酒の生産量を例年より少し増やしていた。しかし、五輪開催が延期となり、新型コロナの終息も見通せず生産増量は裏目に。田辺啓朗専務(県酒造組合副会長)は「冬の酒造りを終え、これから売っていこうという時なのに…。かなり苦しい」と打ち明ける。

 輸出の面でも影響が出ている。一本義久保本店(勝山市)の久保格太郎社長は「中国への出荷は1月下旬が最後。日本より早く外食の需要が減っているアメリカや欧州諸国などへの出荷は3月にキャンセルが相次いだ」とし、パンデミック(世界的大流行)により影響がない国がない現状を嘆いた。

 県内や東京の居酒屋などに福井の地酒を卸している「酒みやごう」(福井市)の宮郷克典代表は「取引先の飲食店はほとんど休業していて、注文はほぼない状態」と嘆く。3、4月の歓送迎会シーズンは年末に次ぐ需要期だが、東京は3月初め、県内は3月終わりから注文が止まったという。

 同店は県内のほとんどの酒蔵の商品を扱い、地酒を発信している。「外出自粛は仕方ない。できることはバックアップしていきたい思いはあるが、今は店での小売りやインターネット販売に力を入れていくしかない」。

 県酒造組合の斉藤政秀常務は「県内酒蔵にとって大きな痛手。家で地酒を味わってもらえれば」と話している。

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