福井県立病院。面会が制限されている=4月12日、福井県福井市

 「できる限りのことをしているが、限界が迫っている」―。看護師の感染を受け、福井県立病院長は4月12日の会見で医療現場の窮状を語った。福井県内の感染症指定病院で働くある看護師は「働く覚悟と感染する恐怖を抱えながら、毎日患者さんと向き合っている」。長時間着けていると息苦しくなるN95マスク、暑さで体力が奪われる防護服…。看護師をはじめとする医療従事者は、過酷な環境に耐えながら最前線に立ち続けている。

 「職場に向かうときは、いつもため息。昼食時もため息」。日勤、夜勤関係なく感染者の対応に当たっている指定病院の看護師は漏らす。感染者がいる区域には必ず防護服で入り、出るときに脱衣所で脱ぐ。物品や機材も必ず消毒し、捨てられるものはすべて捨てる。

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 県立病院では、各病棟から看護師を2、3人ずつ集め、交代で感染患者の対応に当たっている。今回陽性となった看護師は、一般病棟と感染病棟の両方で働いていた。こうしたやり方の背景として、慢性的な看護師不足を指摘する声もあるが、別の看護師は「感染リスクを考えれば、一般と感染病棟の看護師を固定した方がいいのは分かる。ただ、精神的に難しいだろう」と話す。

 防護服は、感染リスクが高まる着脱の回数を減らすため、数時間着続けることもある。暑くて体力や気力が消耗するという。ウイルスを通しにくいN95マスクは息苦しく、頭痛を伴うこともある。痛み止めを飲みながら、任務に当たる看護師もいる。

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 院長は会見で「3月25日から急激な患者の増加がみられ、精神的、体力的にものすごい負担が現場にある」と語った。感染者担当になった看護師は自分が感染したり、発熱したりする夢を見ているといい、家族への感染を恐れ、帰宅を悩む人もいる。子どもを実家に預けている人もいる。

 家族の思いも複雑だ。妻が指定病院の看護師をしているという福井市の30代男性は「妻は疲れて帰ってきても、万が一に備えマスクをして子どもとは別に1人で寝る。食事も洗濯もトイレも別。本人はどれだけ寂しい思いをしているか。感染した看護師も最前線で頑張っていたと思う。その人たちが悪者になるようなことは、絶対にあってはならない」と声を詰まらせた。

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