模擬避難訓練で福井工業大学の学生が位置情報などのデータを収集した車いすでの避難。住民が手を貸す場面もあった=2019年6月、福井県坂井市三国町宿3丁目

 福井工業大学の竹田周平教授の研究室が、地震と津波を想定した模擬避難訓練で検証した車いす避難の課題をまとめた。記録した動画と位置情報から、避難速度が低下した理由を分析。竹田教授は「避難ルートを頭に入れておくなど日頃からの備えがあるかないかで、避難速度は変わってくる」としている。

 訓練は2019年6月、福井新聞社と河北新報社(本社宮城県仙台市)が共催した防災・減災ワークショップ「むすび塾」の一環で福井県坂井市三国町で実施した。日本海の活断層を震源とするマグニチュード(M)7級の地震により、8メートル超の津波が襲来すると想定。住民ら約30人が参加し、三国サンセットビーチと九頭竜川沿岸から、それぞれの近くの高台の避難場所を目指す二つのルートで避難を検証した。

 研究室からは竹田教授と4年生7人が参加。衛星利用測位システム(GPS)機器を車いすに設置し、ルートと坂道の勾配、速度の変化を記録した。併せて記録した動画とともに、速度が遅くなる要因を分析し課題を洗い出した。

 竹田教授によると、車いすの一般的な速度は毎秒1メートルほど。三国サンセットビーチからの避難は、スタート時は秒速1・6メートルと「一般避難者についていく形」で速かったが、しばらくすると秒速0・7メートルまで落ちていた。動画と照らし合わせると、避難を先導する形になっていた地元住民が道を間違えたためだった。一方、九頭竜川沿岸からのルートでスタート直後の速度が上がらなかったのは「車が通り、横断がなかなかできなかった」ためだった。

 また、むすび塾とは別に福井市の福井工業大学福井キャンパスで建物の3階から外に避難する訓練を実施したところ、特に階段では4人がかりで車いすを持ち上げて下ろすなどしたため秒速0・2メートルまで遅くなった。

 竹田教授は「分析結果から、本人も支援者も日頃から車いすでの避難に備えておくことで、避難する速度は上がる」と話す。具体的には▽車いすの人の避難を誰が支援するか事前に話し合う▽避難ルートの幅員や段差、倒壊する危険性のあるブロック塀の有無などを把握する▽避難ルートを複数設定する―ことが必要と指摘している。

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