感染防止のため、マスク着用や換気を呼び掛けるチラシが選挙事務所内に張られている=福井県高浜町内

 新型コロナウイルスの感染拡大は、福井県の高浜町長選挙(2020年4月14日告示、19日投開票)にも影響を及ぼしている。立候補を予定している現職、新人の両陣営は「3密」(密閉空間、密集場所、密接会話)を避けるため、個人演説会の中止に迫られ、つじ立ちでの握手も自粛。有権者と距離を置かざるを得ず「選挙よりも前に、まずコロナとの戦いだ」と頭を抱えている。

 ■苦渋の決断

 出馬を表明しているのは4選を目指す現職の野瀬豊氏(59)と、元県議の一瀬明宏氏(62)。県内の急速な感染拡大を受け、両陣営とも対応に迫られ「多くの人に集まってもらい、候補者の主張を聞いてもらうのが選挙の基本なのだが…」とため息をつく。訴えの浸透を図る機会が損なわれ、有権者の反応をつかみづらくなることが不安だという。

 野瀬氏は、選挙期間中は毎晩、各地区で演説会を開く予定だったが「演説会は3密の極み」と早々に中止を決めた。代わりにホームページで政策を訴えるための動画を制作。選挙期間中は、写真共有アプリ「インスタグラム」を使った発信も考えている。「新しいやり方で取り組むよう迫られることになった」と気持ちを切り替える。

 一瀬氏の陣営も個人演説会の中止を決めた。一瀬氏は、挑戦者としては「やっぱり話は聞いてもらいたい」との思いは強かったが、苦渋の決断をした。さらに告示日前日の決起集会も、開催しないことにした。

 演説会が開けない中で、舌戦の主戦場は街頭演説になりそうだ。しかし各区を細かく回っても、町民や支持者に握手を求めづらい。両陣営は「求められたら、しっかり応えたい」と語る。

 ■鉛筆は使い捨て

 町選管も感染防止に腐心する。各投票所の入り口には消毒液を設置し、スタッフはマスク着用を徹底。立会人らの席も間隔を空ける。投票所内で有権者が密集しないよう、入り口で待ってもらうよう呼び掛ける考えだ。さらに投票用紙に書き込む鉛筆は使い捨てのものを用意。1度使ったら他の人が使わないようにする。記載台もこまめに消毒するという。

 現職の任期満了は5月18日。選挙の日程は、公職選挙法により任期満了前30日以内と決められ、その期間内なら日程を変更することが可能だ。町長選投開票日の4月19日は29日前に当たり、後ろにずらすこともできるが、「半年や1年ずらすなら効果は大きいかもしれないが、1~3週間程度ずらしても事態が大きく変わっているかは未知数」と町選管。現時点で変更は考えていない。

 2016年の前回選挙の投票率は75・5%。町選管は「投票率は年々下がる傾向にあるが、もう一つ下がる心配がある」と、感染拡大が町民の投票行動に影響が出ることを危惧している。

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