安倍晋三首相

 安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づき、緊急事態宣言を近く発令する意向を固めた。対象地域は東京や大阪を軸に調整する。政府関係者が4月6日、明らかにした。感染が全国的かつ急速にまん延し、国民生活や経済に甚大な被害を及ぼす段階に入ったと判断した。同法による発令は初めてで、私権制限を伴う措置が可能となる。世界的に感染が広がる中、国内対応は重大な局面を迎えた。

 安倍晋三首相は緊急事態宣言について、7日に出し、8日から効力を発生させる方向で調整に入った。

 首都・東京で感染者が急増している。首相は速やかに専門家で構成する諮問委員会に諮る。委員会が要件を満たすと判断すれば、首相が緊急事態宣言を発令する。オーバーシュート(爆発的患者急増)で、医療提供体制が崩壊する事態を回避する狙いがある。

 宣言は、都道府県を単位とする区域や期間を明示。対象地域の知事は社会機能や医療の崩壊を防ぐため(1)不要不急の外出の自粛要(2)学校や映画館などの使用停止や制限の要請・指示(3)医薬品などの強制収用―などができるようになる。食品や医薬品など物資の売り渡し、保管命令も可能で、応じない場合は罰則規定もある。

 与野党から緊急宣言の発令に慎重な意見があった。特措法は「国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、必要最小限のものでなければならない」と定めている。

 【新型コロナウイルス特措法】2013年に施行された新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象に新型コロナウイルス感染症を追加した改正法。3月13日に成立した。国や都道府県の責務などを規定している。特措法に基づく政府対策本部の本部長を務める首相が「緊急事態宣言」を発令すれば、都道府県知事は法的根拠を持って外出やイベント自粛などの要請・指示を出すことができる。与野党は改正に当たり、発令の際は国会に原則として事前報告すると付帯決議に盛り込んだ。


■新型コロナを巡る政府対応


新型コロナウイルス感染症を巡る日本政府対応の経過は次の通り。

 2月24日 政府専門家会議が「これから1~2週間が急速な拡大か終息かの瀬戸際」と表明

 26日 安倍晋三首相が全国的なスポーツや文化イベントの自粛要請

 27日 首相が小中高校などの春休みまでの臨時休校を要請

 3月9日 専門家会議が「警戒を緩めることはできない」と表明。イベント自粛や一斉休校について19日ごろまで延長要請

 10日 首相がイベント自粛の10日間程度の延長を要請

 13日 新型コロナウイルス特措法成立。緊急事態宣言発令が可能に

 19日 専門家会議が大規模イベント開催について慎重対応を要請

 20日 首相が大規模な全国的イベントに関し、専門家会議の見解を参考に慎重な対応を要請

 28日 首相が緊急事態宣言の発令を巡り「ぎりぎり持ちこたえている」と表明

 4月1日 専門家会議が「感染拡大警戒地域」では学校の一斉休校も選択肢だと提言

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