Uru『オリオンブルー』

 2016年にデビューした女性シンガーソングライターの2ndアルバム。本名や出身地などを一切公表していない事により、憂いを含んだ優しい歌声の魅力だけで当初から注目されてきた。本作では、その繊細な歌声に合ったUruらしい曲のほか、意外な作風の曲も増え、アルバムに広がりを見せている。

 前者の方は、苦しみを伴う恋心を切なく歌った『プロローグ』や、孤独の中でも大切な人との幸せを想う『あなたがいることで』など逆境系の楽曲が相当するだろう。いずれもドラマ主題歌としてヒットしたが、単なるタイアップ効果ではなく、彼女のドラマティックな声による所が大きい。また、離れても記憶の中で繋がっていると一途に歌う『remember』は、淋しくも明日も頑張ろうと思わせる。

 後者の意外な作風は、カントリー調の7曲目『Don’t be afraid』以降に多い。「弱さを殴った拳」や「自己嫌悪の波」と闘いつつも歩もうとする『頑な』や、強がりを言ってしまう不器用な女性の失恋ソング『いい女』など、フォーク・ニューミュージック世代も共感することだろう。ちょうど『頑な』は『ファイト!』、『いい女』は『化粧』と、どちらも中島みゆきにも通じる赤裸々な描写が心に刺さる。

 アルバム全体で10人の編曲家を起用したことも、感情の機微をより丁寧に引き出している。本作を聴けば、人の第一印象以外の魅力をもっと見つけたいと思うようになるはず。

(ソニー・通常盤 2727円+税)=臼井孝

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