くも膜下出血などの治療薬がアルツハイマー型認知症の発症や進行予防薬として有効との研究成果を発表する濱野忠則准教授=3月30日、福井県永平寺町の福井大学松岡キャンパス

 くも膜下出血の治療薬の成分に、アルツハイマー型認知症を引き起こす酵素の活性を抑える働きがあることを福井大学医学部の濱野忠則准教授(54)の研究チームが突き止め3月30日、福井県永平寺町の同大松岡キャンパスで発表した。認知症発症前の早期患者の進行を遅らせる効果が期待できるという。今後、脳内の酵素の分布などを詳しく調べ、認知症の進行予防薬の開発につなげたい考え。

 認知症患者の5割以上を占めるアルツハイマー型は、脳の神経細胞の働きに必須の「タウタンパク」が異常にリン酸化し、塊を作ることで細胞死が起きることが原因。濱野准教授は2012年に高脂血症の治療薬がリン酸化を抑えることを確認したが、筋肉痛の副作用が起きることなどが課題となっていた。

 13年ごろから、リン酸化を促す酵素に着目。リン酸化酵素を抑制する成分が含まれる、くも膜下出血の治療薬「ROCK阻害薬」を培養細胞やマウスに投与したところ、酵素の活性が著しく低下したほか、塊が減った。

 会見した濱野准教授は「酵素の活性を抑えることで、物忘れなどの早期患者が認知症を発症するスピードを遅らせる効果が期待できる」と強調。「くも膜下出血の治療薬は既に使われており、安全性が確認されている。院内手続きなどはあるが、臨床研究のスタートラインに立つのは容易ではないか」と話した。

 論文は昨年12月、オランダの科学誌電子版に掲載された。

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