浄土真宗本願寺派吉崎西別院の本堂(左)と中宗堂=福井県あわら市吉崎1丁目

 福井県あわら市吉崎1丁目にある浄土真宗本願寺派(京都府京都市、本山・西本願寺)の吉崎西別院の財政が逼迫し、存続が危ぶまれる状態にあることが3月26日までに分かった。近年は赤字が続き、2017年10月の台風で損壊した経堂(きょうどう)は修復できないままになっている。浄土真宗中興の祖、蓮如が開いた吉崎御坊がある聖地でもあり、宗派を揺るがす問題になっている。

 浄土真宗本願寺派の福井教区は15組(そ)に分かれており、このうち近隣の2組(阪北組(ばんぼくそ)=吉崎周辺、円陵組(えんりょうそ)=丸岡周辺)と石川教区の1組(江南組(こうなんそ)=加賀・小松周辺)の計3組が吉崎西別院を護持する役割を担っている。また、同別院には直門(じきもん)という直接の門信徒がおらず、「世話方」と呼ばれる地域の人たちの支えで成り立ってきた。

 しかし、かつて300人いた世話方は高齢化などにより70人に減少。門信徒に参拝を呼び掛け、懇志を集める役割を世話方が担っているため、近年、収入は大きく減っている。予算は歳出超過が続き、職員の退職金などを積み立てる特別会計を取り崩すなどして急場をしのいできたが、それも限界に近づいているという。

 2017年10月の台風では、経典を収める経堂の銅板ぶきの屋根がはがれ、壁は崩落。修復経費を捻出できず、2年半たった今もブルーシートで応急措置したままになっている。18年2月の大雪では、蓮如上人の御影が安置されている中宗堂(ちゅうそどう)や本堂の瓦が損壊し、雪の塊がガラスを突き破った。境内の建物は至る所が激しく傷み、各所で雨漏りしている状態だ。

 吉崎西別院の輪番、門野哲丈さん(60)は「財政面を含めて世話方の存在は大きかったが、人数が減少したことで別院の運営が厳しくなっている」と話す。

⇒D刊でさらに詳しく

 2月27日に開かれた宗派の定期宗会では、事務方トップの総長が吉崎西別院について「運営が危惧される」と異例の言及。宗派の閣僚に当たる「総務」を務める竹田空尊さん(67)は「財政は危機的状況。今なんとか対策を打たなければならない。宗派すべての関係者の協力がぜひとも必要」としている。

関連記事