【論説】東京都で新型コロナウイルスの感染者が急増している。25日の41人に続き、26日も47人の感染が確認された。都は「爆発的患者急増を防ぐ重大局面」として週末の不要不急の外出自粛と平日の在宅勤務を要請。さらに首都圏各県に不要不急の往来自粛を呼び掛けた。

 政府も専門家会議の「まん延の恐れが高い」との報告を受け、改正特措法に基づく対策本部を設置して「緊急事態宣言」を発する環境を整えた。予断を許さない状況にあり、官民一体で感染拡大防止に全力を尽くさなければならない。

 福井県内でも計6人の感染が確認された。中には感染経路を追えないケースがあるなど今後感染が広がる恐れは否めない。進学や就職シーズンで、やむを得ず東京など県外へ往来する県民も少なくないはずだ。加えて、花見シーズンが重なり外出する人もいるだろう。

 不要不急の外出は極力控え、手洗いやせきエチケットを徹底したい。クラスター(感染者集団)をつくりかねない3条件(密閉、密集、密接)を避けるなど、首都圏は無論、県内も含め警戒を怠ってはならない。

 東京都が急に警戒感を示したのは3連休明けからだった。連休中は都内でも人出が多く、隣県のさいたま市で大規模格闘技大会が開かれるなど「気の緩み」を指摘されるような状況だった。東京五輪・パラリンピックの開催に関わる局面だったこともあり、小池百合子都知事の判断を鈍らせた可能性が指摘されている。

 北海道が2月末、早々に「緊急事態」を宣言し、一定の効果を上げたのに対し、後手に回った感がある。「感染症病床」についても、北海道は着実に拡大したが、都が拡大を表明したのは直近の23日であり、反省すべき点は多い。

 専門家会議は19日公表の見解で、欧州のような大規模流行が日本の10万人都市で起き、都市封鎖などの措置をしなかった場合、最終的に8割が感染し医療が崩壊するとの衝撃的な試算を示した。政府が緊急事態宣言を検討する段階に入ったのも、これを受けてのことだろう。ただ、私権制限を伴う措置であり、影響を十分に考慮する必要がある。

 政府は学校再開に向けた指針も発表している。だが、都が「重大局面」と表明した以上、無理がある。学校現場が再開か否か厳しい判断を迫られる事態は回避しなければならない。

 都知事の会見後、都内スーパーでは食料などを買いだめする人が殺到した。政府は慌てて流通は問題ないなどと沈静化を図った。生活情報などは不断に提供し国民が冷静に行動できるよう配慮が欠かせない。不安をいたずらにあおることなく、危機克服への協力を求めることが欠かせない。

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