【越山若水】きょうは、「さくらの日」である。「3(さ)×9(く)=27」の語呂合わせ。日本さくらの会が桜を通して日本の自然や文化の関心を高めようと、1992年に制定した▼暖冬の影響で、福井市では観測史上最も早く桜が開花した。ただ今年は新型コロナウイルス感染防止のため宴会や祭りの自粛が相次いでいる。同市の「ふくい桜まつり」は中止となり、敦賀市の「花換まつり」は来場者と巫女(みこ)の桜の小枝の交換を取りやめる。少々さみしい花見シーズンとなった▼桜の語源には、動詞「咲く」に接尾語「ら」が付いたとするなど諸説あり定かではないが、語感が心地よく響く。古くから万葉集をはじめ和歌や俳句に詠まれ、現代でも多くの文学や音楽作品が生まれている。浮世絵や日本画でも重要なモチーフとなった▼幕末から明治中期に活躍し、最後の浮世絵師と呼ばれる月岡芳年(よしとし)も満開や散りゆく桜を描いた数々の作品を残している。福井市美術館での展覧会には、「東京三盛ノ内 隅田堤花見」と題した華やかな作品が並ぶ▼江戸時代に8代将軍徳川吉宗によって植えられ、桜の名所となった隅田川の堤。保護に携わる「桜守(さくらもり)」らの努力で現代に受け継がれてきた。だが今年は周辺のイベントが中止になり花見客は少ないという。「桜の国」に異変あり。とはいえ桜の美しさは変わらない。それを愛(め)でる日本人の心も。

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